ミッドチルダ上空では巨大船―聖王のゆりかご―の周りで乱戦が行われていた。
 指揮を執るのは機動六課課長八神はやて二佐。そしてその部下であり親友である
高町なのは一等空尉が群がるガジェットを次々と打ち落としていた。


 ミッドチルダのハルマゲドン(前編)


「第七密集点撃破! 次ぃっ!!」
 なのはは今すぐにでもゆりかご内部に突入してヴィヴィオを助けに行きたかったが、突入口が
まだ判明していない。ヴィータと局員が探しているがもう少しかかるようだった。
 再びガジェットが密集しているところを狙い、突撃を掛ける。しかしその密集点が突如爆炎に包まれる!
「な、なにが・・・?」
 爆炎が消えたとき、そこにいるのは非常に剣呑なオーラを纏った修羅の姿が・・・!
『な、なのはちゃん! 君が! いきなりキレていらっしゃる君がっっ!!』
「落ち着いてはやてちゃん! 多分ヴィヴィオの泣き叫んでる映像を見たからだと思うけど・・・」
 心強いにも程がある増援ながらも恐怖で半泣きな状態のはやてから通信が入ってくる。
「突入口は?」
 ゆりかごへの突入をさっさとしたいは剣呑な目ではやてに問いただす。
『ま、まだ見つかってへんけど・・・』
「ならば早く見つけ出せ! それまでの間周りの雑魚共を蹴散らしておく!」
『りょ、了解や! ヴィータ出来るだけはよ見つけて!!!』
『わかってるよ! もう少し落ち着いて待ってろよ! すぐ見つけるから!!!』
 通信が終わった途端にはすぐさまガジェットの密集点に飛び込み、一瞬でガジェットを四散させる。
「・・・私も負けてられないかな」
 なのはは自分に目もくれずに敵を蹴散らしていくに少しだけ不満そうな表情を浮かべ、手近な場所にいる
ガジェットに砲撃を浴びせて憂さ晴らしをしてから、苦戦している局員達のフォローに回るのだった。


 その頃の地上、クラナガンの郊外にある廃棄区画にて、その戦闘は始まっていた。
 表情の無い二機の戦闘機人が無数のガジェットを配下に置きながら機動六課フォワード陣に襲い掛かり、
既に回復しているギンガと土壇場で裏切ったオットーとディードがフォワード陣と協力しながら戦線を維持していた。
「か、数が多い!」
「それに見たことも無い奴が混じってる! あれのブレードには気をつけなさいよスバル!」
「分かってるってティア!」
 スバルとティアナは抜群のコンビネーションを見せながらガジェットを駆逐していく。
 その二人の姿を見たオットーとディードは負けられないとばかりにこちらも双子ならではの抜群のコンビネーションで
ガジェットたちを破壊していく。なんとなく四人の視線が交わり、その目にお互いに対抗心を覚えて―――
更に苛烈な攻撃がガジェットを襲い始めた。
 少し離れた位置で、そんな四人を見て苦笑しながらノーヴェとウェンディの相手をするギンガ。
 かつては態と敗れたとは言え今回は2対1。4対1ですら優勢だったギンガにとって時間稼ぎをするのは
余裕ですらある。二人の相手をしつつ周りのガジェットを巻き込んで破壊していく。ギンガはこの中では
頭一つとび抜けて強かった。
 更に離れた位置で、エリオとキャロ、そしてフリードもガジェットの掃討に当たっていた。
 その時、紫の髪の少女が大きな蟲―地雷王―に乗って現れる。当然そばにはガリューも控えている。
 スバルたちは敵の増援が来たと思い歯噛みする。
「あの子!」
「くそおっ! ただでさえこの数が相手なのに!」
 キャロとエリオはそれぞれ武器をルーテシアに向けようとしたとき、ルーテシアは地雷王に命令する。
「ドクターの玩具を撃って」
 その言葉に忠実に、地雷王は角に集めた雷をガジェットに放ち、ガリューも近くにいるガジェットを切り裂いた。
「な・・・」
「どうして・・・」
 敵だと思っていた少女の突然の行動に面食らうスバルたち。
 その時、彼女達のそばに大きく通信ウィンドウが現れる。その相手は、クアットロだった。
『あ〜らルーお嬢様ぁ。・・・これは一体どういうことかしらぁ?』
「クアットロ・・・。どうしたもなにも、当然の事」
『どういう事かしらぁ? 私たちが何かしましたかぁ?』
 クアットロはいけしゃあしゃあと言葉を放つ。ルーテシアは少し眉をひそめ、
「お母さんの事、嘘をついた。レリックが無くても目を覚ます」
『あらあら、誰から聞いたんですそんなありもしない嘘を?』
「おにいちゃんが私とゼストの体を調べて分かった。適切な治療さえすればレリックは必要なかった」
 その言葉にクアットロは不快げに眉をひそめる。
『まったくぅ・・・そんなの嘘に「嘘じゃない」』
 その言葉を遮るものが別にいた。それは、
「レリックが無くともその被験者にされた方々は目を覚ます。間違いなくドクターがそう言っていた」
『・・・あ〜らチンクちゃん。何故そこでそんな格好をしているのかしらねぇ・・・?』
 チンクだった。そして彼女はナンバーズが着ているようなスーツを着ておらず、アタラクシアの警備隊の
戦闘服(女性用)を着た上でシェルコートを羽織っていた。あと彼女は何故かは大型の黒豹に跨っている。
「簡単だ。お前たちが人格を改変したセインたちとは同じ考えだったからだ。そして私は運良く楽園に保護された」
『ああ、貴女も裏切り者だったのよねぇ。色々喋っちゃったのかしらぁ?』
「知りうる限りの事はな。それと、11番のレリックは既に無い。4年前の空港火災のとき、お前が回収し損ねた」
 クアットロは思わず舌打ちする。あの空港で姿を消しながらガジェットを引き連れて、回収に失敗して
爆発させてしまった事を思い出したのだ。それを聞いたルーテシアが目を鋭くしてクアットロを睨む。
『あらあらぁ。ばれちゃったぁ』
 面白そうに笑いながらいうクアットロにその場の全員が殺意を抱きそうになる。
 なおこの通信はたちもフェイトたちも見ている。
 ただでさえキレているから更なる殺気と怒気が吹き上がり、周囲の局員とあと何故かガジェットたちも
から距離をとっていた。
「クアットロ・・・!」
『仕方ないですわねぇ。じゃあこうしちゃいましょう♪』
 クアットロに怒鳴りつけようとしたルーテシアだが、クアットロが何かの操作をした途端に苦しみだす。
「ぅあ・・・ああああああああっ!」
「ルーテシアお嬢様!? クアットロ! お前何を!」
『あら? 体と精神の制御が思ったより利かないわねぇ・・・まあいいわ。召喚獣たちを暴れさせちゃいましょう♪』
 チンクがルーテシアに駆け寄りノワールが心配そうに擦り寄るが、ルーテシアの苦しみ様が酷くなる。
 そしてその周囲に幾つもの魔法陣が現れ何体もの地雷王が姿を現し、そして白い巨体の召喚獣が、白天王が召喚される。
 白天王と地雷王たちは見境なく暴れ始め、周りのビル郡を瓦礫の山に変え始めた!
「な・・・!」
「何よあれ!!」
 スバルとティアナが思わず悲鳴を上げる。あんなものに勝てるはずが無いと。
 キャロはその光景を見て、迷わず切り札たる彼を召喚する事に決める。
「天地貫く業火の咆哮・・・遥けき大地の永久の護り手・・・我がもとに来よ、黒き炎の大地の守護者・・・
竜騎招来、天地轟鳴・・・ッ!   来よ、ヴォルテーーーーーールッ!!!」
 キャロの足元で輝く巨大な魔方陣から黒い巨体の真竜が現れ、暴れ狂う白天王に組み付き力比べを始める!
 フリードが地雷王数体を相手取りドッグファイトを展開し、暴走するガリューをエリオが迎え撃つ。
『うふふふふ。さあ、踊りなさぁい。このクアットロの手の平のう・え・で♪』
 その場の全員がクアットロに対して紛れも無い殺意を抱き始め、不穏なオーラがそれぞれから漂い始める。
 キャロは群がってくるガジェットに対してからもらった刃付きのリング―チャクラム―を召喚し、
物体操作魔法を使用して超高速回転させながらガジェットを切り裂き始め、スバルとティアナは更に鋭い
動きでガジェットを粉砕し、エリオはガリューを圧倒し、ギンガは近寄ってきていた地雷王を薙ぎ払い、
チンクは無表情で襲い掛かる妹二人をとりあえず殴り倒す。ノワールはルーテシアを護るように背中に乗せて、魔獣
ゆえかに何か教育でもされていたのかバインドでルーテシアを自分にくくりつけて落ちないように細工して、追
いかけてくる地雷王から逃げ回りながら道を阻むガジェットを叩き潰していく。
 オットーとディードはそんな彼女達から少し離れて見守る。少し震えているように見えるのは気のせいだろう。
気のせいだと思いたい。決して彼女らの発するオーラが怖いわけではないと思いたい。
 更なる激闘が始まる中、クアットロは哄笑を上げ続け、キレ掛けている彼女達の神経を逆撫でし続けていた。


 一方スカリエッティのラボに侵入したフェイトとシャッハだが、シャッハは途中でセインによって分断されてしまい
フェイト一人でスカリエッティに相対していた。そばにはトーレとセッテが控えている。
「もう抵抗を止めなさい。これ以上の抵抗は無意味です」
「そうは思わないね。まだ色々と足りないのだよ。しかしクアットロには困ったものだ。おかげで不破君の殺気が凄
い事になっている。碌な目に遭わないだろうねあの子は・・・」
 スカリエッティの言葉に、フェイトとトーレとセッテは極力見ないようにしていたの映像を盗み見る。
 全くの無表情で目だけが殺意にぎらついている。それでも冷静さを失わないのは凄まじい事だとトーレたちは思うが、
フェイトは知っている。彼はキレると冷静に、そしてより冷酷になっていくのだと・・・
「あの状態のは確実にゆりかごを落とします。願望ではなく確信と言うか最早確定事項です。まだ抵抗するのですか?」
 フェイトの言葉をスカリエッティもトーレたちも一も二も無く納得しながら肯定する。しかし、降伏はしない。
「力ずくできたまえ。君ら管理局の得意技だろう?」
「・・・いまいち納得できませんが、それがお望みなら」
 フェイトはライオットモードを起動し、真・ソニックフォームを発動する。
「ふむ・・・それが君の切り札かね。プレシア女史といい君といい何故にそう無駄に色気のある格好を好むのか・・・」
「・・・ほっといてください」
 スカリエッティの言葉にそういえば胸元とへその辺りが大きく開いていたなあ、と母の姿を思い出すフェイトだが
無駄な考えだと思い頭を振って脳裏からその映像を打ち消す。
「いや正直なところ不破君はそれについてどう思っているんだね?」
「・・・出来れば他の男の前では使うなといってはいましたが」
 のちょっとした独占欲に大いに賛同する男がここに一人。あとトーレも。セッテは理解できていないようだった。
 なんというか、フェイトの格好は酷く扇情的だった。体のラインがくっきりと浮き出たスーツ。彼女の
スタイルの良さが災いしてえらい破壊力になっているのだ。なお特筆すべきはその肉付きのいい太ももである。
「そんな事はどうでも良いです。いい加減決着をつけましょう」
「・・・トーレ、セッテ」
「「はいっ!」」
 スカリエッティの言葉に応えた二人がフェイトに肉薄する! フェイトはその場から動かず二人の攻撃を受け流し
カウンターを入れるが二人は大きく跳び退って回避、お互いに油断無く隙をうかがい始める。
 膠着状態に陥った三人を尻目に、スカリエッティは戦場の状況をただ眺めていた。


 地上本部上空ではゼストとアギト、そしてシグナムとリインが対峙していた。
「お初にお目にかかる。騎士ゼスト。 私はシグナム。一応貴方の後輩に当たります」
「以前は軽く見かけただけだったな」
 ゼストは油断無く槍を構えるが、シグナムは構えても・・・剣に手を掛けてすらいなかった。
「どうした。俺を止めに来たのではないのか?」
「・・・・不破から事情は聞いております。レジアス少将にかの事件の真実を聞きに行くのでしょう」
「そうか。奴と知り合いだったか」
「もう大分古い付き合いになります。私は貴方を止めません。本題はむしろそこの融合騎です」
「あ、あたし? 何の用だよ?」
から話は聞いている。お前の話した理想のロードの条件に私が適合するらしい」
「だからリインたちはアギトを迎えに来たですよ。口説くなら自分たちでやれといわれましたけど・・・」
「口説くって・・・。っていうか何でお前がロード候補なんだ!?」
「炎熱の魔道資質に古代ベルカの真正の騎士。そして魔力光。その条件全てに私があっている」
 シグナムは魔方陣を展開し、レヴァンティンに炎を纏わせる。それを見てアギトは明らかに動揺していた。
「・・・そうか。は約束を果たしてくれたか」
「旦那? 約束って・・・?」
「奴に頼んでいたのだ。アギトをめぐり合うべき相手に会わせてやってくれとな」
「そんな・・・」
「とーさまは理想のロードの条件を聞いてあっさりシグナムが候補に上がったといってましたです」
「烈火つながりで相性も良いだろうとも言っていたな。何か妙な事を、炎は火と火がどうのと言っていたが・・・」
「若旦那ぁ・・・」
 が手配してくれていたと聞いて涙ぐむアギト。ルーテシアの事も自身の体の事も何もかも世話になりっぱなしで
申し訳なくすら思ってきていた。まあ本人は恩を売ったつもりは毛頭無かったりするが。
「・・・アギト。俺はレジアスのもとへ行く。お前は騎士シグナムと共に戦うがいい」
「旦那・・・」
「ようやくめぐり合えたロードだ。俺のほうもが道を作ってくれているだろう」
「道中お気をつけください。が言うには気に入らないことこの上ないセイギノミカタの妨害等があるかもし
れないとの事です。」
「一応護衛は用意したととーさまが言ってましたです」
「そうか。本当に、奴には頭が上がらんな・・・」
「私たちもです。いつもいつも世話を掛けっぱなしで・・・」
 ゼストとシグナムはお互いを見て、自分たちの情けなさに大きく溜息をつく。
 至らない部分がありすぎる自分に軽く失望しながらゼストは地上本部へと向かっていった。

「さて、アギト」
「なんだシグナム」
 彼女達の周りにはガジェットの群れが迫ってきていた。
「やるぞ。準備はいいか?」
「・・・ああ、いつでも!!」
「「ユニゾン・イン!!」」
 アギトが紫色の光球となりシグナムの中に溶け込み、シグナムの姿が変わる。
 上着が消え4枚の炎の翼を背負い、髪や目の色、騎士甲冑の色が変わったシグナムがそこにいた。
「ふわ〜・・・二人がユニゾンするとそうなるんですか・・・」
「リイン。お前はこれからどうするのだ?」
『あたしを口説く仕事は終わっただろ? お前のロードのところに行くのか?』
「はいです。近くに来ているアルトに拾ってもらってマイスターはやてのところへ送ってもらうです」
「そうか。気をつけてな」
『まあなんだ。あんま若旦那に心配掛けんなよ。ただでさえ負担掛けてんだから』
「分かってるです。じゃあ行ってくるです!」
 リインはアルトのヘリと連絡を取りつつ飛び去った。
「さてと、一暴れするぞアギト」
『おう! 滾れ炎熱! 烈火刃!』
 レヴァンティンに炎に包まれ、連結刃に変形する。
「『飛竜・一閃!!』」
 周りに群がっていたガジェットをなぎ払い更に、
「『剣閃烈火・火竜一閃!!』」
 遠方から来るガジェットの群れを、炎の刃でまとめて焼滅させた。
『なあ、シグナム。何でここあたしらと他数人の空戦魔導師しかいないんだ?』
「・・・人手不足だ。以前の襲撃で航空隊の大半が重傷を負わされていてな。ゆりかごに向かったの以外はこの数人し
かいない。だが、私とお前がいれば問題は無いだろう?」
『あったりまえだ! あたしらの力、存分に見せてやろうじゃんか!』
 烈火の将と烈火の剣精は地上本部に一機たりとも寄せ付けず、その力を見せ付けはじめた。


 その頃のたちは、ゆりかご内部に突入していた。
 襲い掛かる機動兵器をとヴィータが言葉も交わさず視線も交わさず阿吽の呼吸で斬り飛ばし叩き潰す。
 後ろで見ているだけのなのはは面白くなさそうだった。
「ねー君、ヴィータちゃん。私も戦った方が・・・」
「お前は魔力を節約してろ」
「AMFのせいで魔力消費が激しいんだろう? なら魔力無しでこの鉄くずどもを潰せる俺たちが動くのが
最善だ。お前にはヴィヴィオの相手をしてもらいたいからな」
 なのはの嘆願はあえなく却下された。目の前の二人は体術と武技だけで散発的に現れるガジェットを掃討している。
 だが、それ以上に気になる言葉があった。
「何でヴィヴィオの相手を?」
「ヴィヴィオはこの聖王のゆりかごの起動キーであると同時に最終防衛システムでもある。ヴィヴィオの所に
いけばルーテシア同様クアットロの操作を受けたヴィヴィオと戦う事になる」
「そんな!」
「ヴィヴィオには鎧が、聖王の鎧がある。なのはの攻撃力ならあの堅牢な防御も貫けるだろう。
 その為にも可能な限り温存してもらいたい」
「・・・うん。分かったよ」
 の説得になのははようやく頷いた。
 しかしここでヴィータが疑問に思う。それは、
「なあ、みょーに詳しくねーか?」
「俺だからな」
「「あー・・・納得・・・」」
 疑問は一言で返された。しかも二人はあっさり納得した。
 どうせ自分達の知らないところで情報収集していたんだろうと勝手に考えて納得する。実際そうなのだから仕方が無い。
 その時、が何かに気付いた。
「っ! なのは! この向こうにディバインバスターを撃て! 早く!」
「う、うん! ディバインバスター!」
 なのはが砲撃を放ったその向こうから、同じ規模の砲撃が向かってきている!
 それはぶつかり合い拮抗した。
「これは・・・ナンバーズか!」
「砲撃は確かNO.10ディエチか」
 ヴィータが元を断とうと突撃しようとするが、に止められる。
! 何で止める!」
「あと15秒だ! なのは! そのまま拮抗してろ!」
「う、うん!」
 時間が迫っていた。カードが裏返るその時間が。
 そして・・・・・・・・・・
「・・・? 私は・・・?」
 正気に戻ったディエチが砲撃をやめ、それに気付いたなのはも砲撃を止め、相殺する。
 そしてたちは混乱するディエチに状況を説明し始めた。

 丁度その頃、各地では人格を書き換えられていたナンバーズ達が正気を取り戻していっていた。

「ん? ってなんで目の前に爆発寸前のスティンガーが!!?」
「あたしらなんかしたっすかチンク姉!?」
「やれやれ・・・ようやく元に戻ったか」
「よかった・・・」
「ウェンディ姉さま、ノーヴェ姉さま不具合はありませんか?」

「え〜っと・・・あんた誰?」
「・・・聖王教会のシスターです。ようやく洗脳が解けましたかNO.6」

 それぞれ正気を取り戻したナンバーズたちはそこにいた者たちに協力し、行動を取り始めた。
 ノーヴェとウェンディはスバルたちに協力し向かってくるガジェットの掃討に。
 セインはシャッハと共にウーノを拿捕するため研究所の奥に向かっていった。
 そしてディエチは、ゆりかごの破壊に協力していた。

「なるほどな。動力を潰す必要と聖王を止める事、そして管理者であるクアットロを止める必要がある・・・か」
「うん。それぞれ別の場所にあるから分かれて行動した方がいい」
 たちはゆりかごの構造について話して、今後の行動を決定していた。
「玉座は反対方向だね。私が行くよ」
「あたしは動力だ。ぶっ潰してくる」
「ディエチ。お前も動力部に行け。ヴィータの援護を頼む」
「分かった」
「俺は最深部だな。クアットロを潰してこよう」
 の言葉に3人は恐ろしげにを見やる。
「なんだ?」
「文字通り・・・じゃないよね?」
「一応生かしておけよ。逮捕しなきゃいけないんだから」
「あれでも一応姉なんでお願いします」
「・・・・・・お前達の中の俺のイメージを聞いてみたい気もするが、まあいい。殺しはせんよ」
 言質は取ったとばかりに釘を刺してくる三人を適当にあしらいつつはゆりかごの最深部に向かう。
 他の三人もそれぞれの場所に散っていった。

 ゆりかご最深部にて、クアットロは焦っていた。
「なぜ・・・なぜあの子達が元に・・・それにゼロ・ファーストまで・・・!」
 人格を改変し操っていた人形がその操り糸から逃れている事に愕然としていた。
「そうか! あの男ゼロ・ファーストに何か仕込んで!!」
 ようやくそれに気付いたクアットロは苛立たしげに地団駄を踏む。
「ふ、ふふふ・・・絶望させてあげるわ。あの男を殺すために作っていたあいつで!!!」
 恐怖に震える体を抑えながら、クアットロはへの憎しみを抑えることなくその作品を動かす。
「さあ行きなさい。あの男を、不破を殺すために!!」
「―――――――了解」


 そして――――
「ママ・・・パパ・・・たすけて・・・パパ・・・ママァァァァァァァ!!!!!」
「ヴィヴィオ! 今、今助けるから!!」
 玉座に着いたなのはは意図的に暴走させられ15歳ほどに急成長したヴィヴィオと対峙していた。

「くそっ! 固えっ!!!」
「でも、どうにかして破壊しないと・・・!」
 動力部に着いたヴィータとディエチは強固なジェネレーターに苦戦している。

「はああああああああっ!!!」
「「ぐあああっ!」」
 スカリエッティのラボで、フェイトは連携して襲い掛かる二人を密かに習得していた薙旋でまとめて叩き潰した。
「勝負はつきました! 投降しなさいスカリエッティ!!」
「・・・ふっ。やはりこうなったか。ついてきなさいフェイト君。我らが倒す予定だった者達の資料を譲ってやろう」
「・・・いいでしょう。逃げるなど考えないでください」
 スカリエッティはフェイトに本来ならば見せてはならない悪夢の資料を見せようとしていた。

「・・・・・・・・・・・・・馬鹿な・・・」
 最深部への途中で、呆然と目の前にいる存在を見ている
 ソレはと非常に似た容姿をしていた。無言のまま小太刀の二刀を構えるその男は・・・
「なぜ・・・ここにいる。不破一臣・・・・」
 呆然と、写真でしか見た事のない父の名を呼んだに対し、ソレは人間を遥かに凌駕する速さで斬りかかる!
 あまりのショックに思考が停止していたは、その刃を避けきれず、通路に血飛沫が舞った・・・






後書き
最終決戦の前編でした。
地上は大体勝負がついています。あとはクアットロが倒されて洗脳やガジェットが停止すればそれで終わり。
地下の方も勝負がつきました。後は空だけ・・・
地上本部の方は次の話で。
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