鬼IN恋姫†無双

 猫と鬼

 魏のある夜。は自室のベッドでまどろんでいた。
 今日の夕食は月に数度ある不破邸での宴会だった。
 そして全員結構な酒が入っているのでみんな屋敷に泊まる事になったのだ。
 と三羽烏はこの屋敷で寝食を共にしているのでそれぞれ自室に引っ込んでいる。
 なぜ一緒に暮らしているかというと、彼女らはの内弟子なのだ。生活のほぼ全てをが管理しており、
生活の全てが修行となっている。食事制限もしており、が許可していないおやつなどを食べると強制的に吐かされる。
 だがまあ基本的に食事はの手作りなので凪たちに不満は無い。沙和にいたっては体が引き締まってきてかなり
喜んでいる。それを聞いた魏の幹部たちはダイエットしたければに頼れ、というのが暗黙の了解になっている。
 だが、一部の女性たちは気になっている男性に痩せたいんで力を貸してくれとは言えずに悶々としていたりもする。
 乙女心はげに難しいものである。

 閑話休題

 現在不破邸には真桜と共用の研究室があるのだが、そこに結構なスペースをとっているため部屋数はそんなに無い。
 そのため華琳を含めた城に住んでいる面々は和式の居間(ただしフローリング。畳は用意できなかった)に簡易のマットレ
スを敷いた上に布団を敷いて雑魚寝している。普通、王に雑魚寝とかは失礼極まりない。稟と桂花は憤慨していた。
 春蘭もかなり怒っていたが、なんだかんだ言ってみんな楽しそうに雑魚寝していた。寝る前などは修学旅行中の学生そのも
のだった。が教えたのだが枕投げ大会も開催されていた。ちなみに枕はが匈奴と取引して得た羊毛を使ったクッション
で、春蘭や季衣の投げる枕はかなり危険そうな唸りを上げていたりした。
 家財道具なんかが壊れなかっただけでも儲けものである。

 さて、全員が寝静まりも浅い眠りについている頃、の部屋に客が来た。【猫】だ。
 ノックはしないで部屋に入ってくる。だが、が自分のテリトリーに入るそれに気付かないはずが無い。
 気付いていない筈が無いのだが、は特に気にせず意識を下降させようとすると、【猫】はふらふらと体を揺らしながら
に近づき、布団に潜り込んできた。は気にせず寝ようとする。【猫】は仰向けに寝るの胸元あたりに侵入し、
そのまま上に寝転ぶ。鍛えているからすれば小柄な【猫】は大して重くはないのでは気にしない。
 【猫】はしばらくごそごそと体を動かして寝やすい体勢を探してから、の胸元に縋りつくような格好に落ち着いた。
 【猫】が静かに寝息を立て始めたあたりでは目を開け、【猫】を見る。普段は見ることが無いような穏やか且つ幸せそ
うな寝顔にちょっと悪戯心が湧いたは指で顎下を撫でてみる。まんま猫のような反応を返し始めた【猫】に少し苦笑する。
 【猫】は薄く目を開けて、の頬に口付けてきた。少し驚いただが、も【猫】の頬に口付けると、今度は唇を
重ねてきた。さすがにこれにはびっくりする。何度か啄ばむ様なキスをしてから、【猫】は満足したようにの胸に頬擦り
して、寝息を立て始めた。
 驚き固まっていたはしばらく呆然としてから、【猫】を柔らかく抱きしめて眠りに落ちた。

 翌朝。
「な、なななななななあああああっ!!!!」
 早朝の不破邸に大きな声が響く。発生源は起こしにいくよう言われた春蘭だ。
「どうしたのだ姉者」
「うるさいですよぅ春蘭さまぁ・・・」
 声を聞いて駆けつけた秋蘭と寝ぼけ眼の季衣は、その部屋の中を見て、固まる。
「何かあったんですか?」
「朝から何事なのかしら?」
 流琉と華琳もやってきた。流琉はその小さな体に似合わず大量の布団を重ねて持ち運んでいる。これから干すらしい。
 そして二人も部屋の中を覗き込んで、固まった。
 そこに居たのは・・・
「ん、おはよう」
 当然ながらその部屋の主であると、の胸元に顔を埋めて幸せそうに熟睡中の桂花だった。
「・・・何事?」
「寝惚けてたんだと思うぞ」
 健やかな寝息を立てる桂花の髪を撫でながら答える。実際そうとしか言いようが無い。
 当の桂花はすごく幸せそうに眠っている。
「普段アレだけ罵詈雑言を浴びせる相手に・・・」
。あなたは桂花を嫌ったりしてないの?」
「特に嫌っては無いぞ。そもそも好きでもない女を抱く趣味は・・・ん?」
 桂花の頭を撫でていたは違和感を感じた。寝癖が付いていると思われる部分をちょいと整えてみると・・・
「あら」
「おや」
「な、ななな・・・!」
「「「「み、耳が生えてるーーーーっ!!!!!?」」」」


 あの大声でさすがに起きた桂花だが、おかしかった。
 何がおかしいかというと、あえて言うなら全部。
「にゃっ!」
「ふふふ・・・かわいい」
 が近所の猫と遊ぶために作った手製の猫じゃらしを持った華琳が桂花の前でそれをフリフリと振ると、桂花が猫の手で
ぱしぱしと叩いている。体の動かし方から何から猫そのものだ。飛び掛かる前には尻尾をフリフリと振っている。
 桂花の行動に萌えて何かを妄想したらしい稟が鼻血を噴き、いつものように風に介抱されていたりするが誰も気にしていない。
「しっかし、どうなっとるんや?」
「さあな。不破は何かに気付いたようだが」
 霞と秋蘭は遠巻きに戯れる二人を眺めている。季衣と春蘭は気味悪げに桂花を見ており、料理番の・流琉・凪は
朝食の準備中だ。
「何がどうなってこうなったんやろ」
「隊長の説明まで待つ方がいいと思うの」
 原因を考える真桜だが、何かに気づいたっぽいに聞いたほうが早いと沙和は早々に諦める。
 まあ正解ではあるのだが。
 華琳が桂花を構っているのを見ていると、朝食を作っていた三人が朝食を大量に持ってきた。
。桂花がこうなった原因は何なのかしら?」
 早速朝ご飯を頬張りながら聞く華琳。茶を啜っていたはチラッと桂花を見る。全員がその視線を追うと、用意された温め
のスープを四つん這いになって顔を近づけて舐めている光景だった。
『ゴクリ』
 少女達は、その艶かしくも淫靡で且つ背徳的な光景に思わず生唾を飲んだ。見た目幼い少女がこういうことをしているの
を見るとどうにもいやらしく見えてしまうのは時代を問わないようだ。なお、華琳はある意味この光景を見慣れている。
「お嬢さんたちが変な気分になっているのはほっとくとして、どうも子猫の幽霊が取り憑いたっぽい」
「幽霊が?」
「その所為で行動が猫になってるんだ。華琳に懐いているのは元の人格の影響だろう」
 食事を終えた桂花が華琳に擦り寄っているのを見て全員が納得する。猫になっても変わらないあたりある意味安心したが。
「どうやったら元に戻るの?」
「今日一日構い倒してやれ。取り憑いている猫が満足すれば勝手に元に戻るだろう」
「そう。・・・風。私と桂花の仕事は任せたわ」
「はいなのですー。稟ちゃんもがんばりましょうねー」
「仕方が無いですね。政務は私たちが請け負います」
「よろしくお願いするわ。他のみんなはいつも通り仕事をして頂戴」
「わかりました華琳様」
 朝食を終えた者達はそれぞれ仕事場に散っていく。残ったのは後片付け中のと凪と流琉。そして華琳と桂花だった。


 は仕事中だった。警備隊にもデスクワークはあるので机に向かって警備の報告や陳情等を見ているのだが、正直集中
できない。その原因は・・・
「にゃあん!」
「待ちなさい桂花!」
 軽やかに四足走行する桂花と髑髏の髪留めを片方取られて取り返そうとしている華琳だったりする。
 先ほどからの周りをどたどたと騒がしくしてくれているのだ。というか・・・
「何故俺の周囲から離れない」
「私に言わずにこの子に言ってくれるかしら?」
「にゃー・・・」
 華琳に首根っこを捕まえられた桂花だが、が移動する部屋について来るのである。実はもう既に三回ほど場所を変え
ていたりするが悉くついて来るのだ。ちなみに外には出せない。今の桂花が町民に目撃されるのは拙いのだ。立場的に。
「・・・ねえ
「なんだ?」
「貴方本当に桂花に嫌われてるの?」
「・・・さあ?」
 髪留めを取り戻して付け直した華琳だが、少し目を離した隙に桂花は仕事中のの膝の上に乗っかっていた。
 相変わらず小柄なので的には特に問題ない。の首筋にすりすりと頬擦りしたりして存分に甘えている。
 華琳は考える。今現在の桂花は猫に取り憑かれていろんな意味で素直になっている。嫌いなら近寄らないし、好きなら自分
から寄ってくる。それは華琳も分かっている事だ。しかし・・・はどうなのか。
 普段の桂花はに対してそれはもう言われているが可哀想になる位の罵詈雑言を吐いている。大抵の人間なら
トラウマ物なほどだ。一時期のことを魏の種馬だとか言う噂が流れたが、現在においてもは誰にも手を出していない
事が確認されている。出したのは一度だけ。華琳のお仕置きでが桂花を抱いたくらいだ。
 一度のことが気に入ったらしいアイドル姉妹の長女と次女が誘惑したらしいがすげなく袖にされたとのこと。
 なお、振った理由は売名目的だった地和の目的を見抜いて振って、その直後に来た天和が巻き添えを食ったらしい。
 ちなみに人和はどういう風な意味でかは分からないが安堵の溜め息をついたらしい。
「嫌っているならそもそも俺の近くには来ないし、何より寝てる所に潜りこまんだろう」
「ふうん・・・」
 つまり、そういうことなのだろうか。そもそも桂花が嫌いなのは教養の無い馬鹿な男であって――――――――
「ああ、そういうこと」
「どうした?」
「なんでもないわ」
 に顎の下のあたりを撫でられてごろごろと喉を鳴らす桂花を楽しげにクスクス笑いながら見つめる華琳。
 華琳は再び猫グッズを持って桂花を構うのだった。


 その夜、満足した子猫の霊が成仏し、元に戻った桂花は全身を襲う痛みに悶絶していた。
「はあうううううー・・・・・」
「どういうことなのだ不破」
「非力かつ運動不足の体で一日はしゃぎまくってたからな。普段使わない筋肉を使った所為で筋肉痛を起こしているんだ」
 の解説に、桂花は顔を真っ赤にして枕に埋めていた。
 桂花は覚えているのだ。今日一日の事どころか昨晩の事まで詳細に。
「・・・ちょっとそこの馬鹿。治す方法は?」
「安静にしてろ。それで治る」
「今すぐ治す方法よ!」
「ない。だから静かに寝てろ」
「うう・・・」
 寝られるわけも無い。全身に鈍痛が走っているのだ。痛みが気になって寝るどころでは無いのである。
「凪。少し按摩でもしてやれ。痛みぐらいは誤魔化せるだろう」
「わかりました。・・・あまり得意ではありませんが」
「今の私に触れるんじゃない!」
 手酷く拒絶された凪が肩を落としながら桂花から離れる。背中に哀愁が漂っている。
「凪、落ち込むな。俺がやっとく」
「ちょっ、触らないでよ変態! 私を孕ませる気!?」
「心配するな。まあ、して欲しいならしてやるが」
「ふ、ふざけんじゃないわよーっ!!!」
 顔を真っ赤に染めて拒絶する桂花。でもそれは怒りからくるような物では無いと華琳が悟る。内心を悟った華琳からは照れ
隠しに見えるのだ。むしろ微笑ましくすらある。
 に触れられないように抵抗するもあっさり力尽きた桂花は、結局にマッサージされて大分楽になっていた。
 かなりテクニシャンなの手腕により痛くはなかったはずだが、桂花は妙に体をもじもじさせながらを睨む。
「筋肉痛ってそんなに簡単に治るの?」
「痛みを誤魔化しているだけだから全く治ってない。ただし、治癒は早くなるな」
 睨む桂花から離れたところ、華琳に聞かれて答える。本当なら微温湯に浸かりながらするのが一番いいのだが、この時代で
風呂を沸かすのは大変なためあまりやれないのである。
「ところで華琳。水道を引いてみないか?」
「あまり天の技術をもたらすのはいけないんじゃなかったの?」
「心配いらんだろ。たしか近い年代に遥か西の国で大規模な水道橋が建設されていたはずだし」
「そう、なら頼むわね」
「了解した」
 風呂を沸かすのに最も大変なのは水の運搬である。現代人には水道設備があるから苦労を覚えないが、この時代ではすこ
ぶる重労働である。普段は濡らした布で体を拭くか、川で水浴びなのだし。
「真桜。図面を引くから工作兵を連れて一仕事してくれ」
「はいな。まかしとき!」
 色々複雑な理論とか使っているのだが、科学者でもあるには普通に知っていることだ。真桜にそのアドバイスをしつつ
図面を引く事にする。と言っても草案のみだ。ヒントを教えるだけで後は真桜たちの試行錯誤が物を言う。
 とりあえずは明日からは忙しそうである。

 深夜。の元には一人の少女がやってきた。
「・・・うう」
「・・・とりあえず、だ。華琳じゃだめなのか?」
「・・・あ、あんたの所為なんだから、あんたが責任取りなさいよ」
「まったく・・・素直じゃない奴」
 妙に顔を上気させ、欲情に潤んだ瞳をに向ける桂花。
 どうやらマッサージで変なスイッチが入ったらしかった。
「男は嫌いなんだろう?」
「・・・あ、あんたは、そこらの男よりは、マシよ。だ、だから・・・!」
「はいはい」
「ちょっと! 何よその返事・・・んうっ!」
 なかなか踏ん切りがつかない桂花には強引に抱き寄せ口付ける。驚いていた桂花だが、次第に抵抗がなくなり、
体に腕を回してきた。
「そうそう、一言忠告」
「あ・・・な、なに?」
 熱に浮かされたような表情の桂花が聞き返す。は少し困ったようにそれをつげた。
「こっちに来てから一度お前とやったっきりで性欲処理とか全くやって無いのでいろいろ歯止めが利かないっぽい」
「・・・へ?」
「だから、先に謝る。申し訳ない」
「ちょ、ちょっとそれって・・・あんっ!」
 この世界に来てから自分以外の女を抱いていない。それを聞かされた桂花は・・・
(・・・何よこの優越感は。ああ、申し訳ありません華琳様・・・ふぁ、あああああっ!!)
 自分だけである事に喜びを覚えてしまい、同時に華琳へ罪悪感を抱いてしまっていた。


 そして、翌朝。
「な、なにごと・・・?」
 春蘭は己の眼を疑った。
 自分と同じようにを嫌っていたはずの桂花が、朝議に出席していたの傍を離れないのだ。
 今も現にの服の袖を掴んで離さない。
「・・・桂花」
「な、何でしょう華琳様」
「・・・そういうこと」
 桂花の様子に色々と悟ったらしい華琳はわざとらしく溜め息を吐き、に視線を移す。
「今夜は私の元に来なさい」
「・・・了解した」
 はとうとう来たかとある意味諦めの表情でため息をつく。
 華琳が自分をどういう風に想っているかは気付いていたのだ。
 今までの関係もあるから本人から言い出すまでは自分から動くつもりは無かったのだが・・・予想も付かない横槍が入った。
「い、いけません華琳様!」
「桂花?」
「この男は一度関係を持てばこいつが満足するまで許してくれないような男です!」
「・・・俺自身は結構淡白な方なんでどっちかって言うとお前が満足するまでつき「黙りなさい!」・・・はいはい」
 ぼそっと呟いたの言葉を大声で遮り、この男は最悪の鬼畜だと諭す桂花。
「ですから華琳様! もう既に関係を持ってしまっている私がこの男を身を捧げてでも止めます! 華琳様や皆には決し
て手は出させません! ですからこの男を閨に呼ぶような事はおやめください!」
 桂花のその言葉を聞いた春蘭は、その献身的といえる宣言に感動した。
「桂花・・・なんという自己犠牲の精神! 感動したぞ!」
「春蘭!」
「桂花!」
 普段仲良くないくせにひしっと抱き合う二人。そんな二人、いや、桂花を見るほかの面々は微妙な表情をしていた。
(ねえ
(なんだ?)
(今のって何気に、自分以外にに抱かれるのは許さないって言う事なのかしら?)
(・・・穿った見方をするとそうなるな。本人気付いてないらしいが)
(なかなか大胆ですね〜)
(うむ、そうだな。しかし・・・)
(どうしました秋蘭殿?)
(それに気づかず感動している姉者は・・・可愛いなあ)
((((はいはい・・・))))
 いつもの秋蘭の病気(超シスコン)が発病しているので秋蘭の言葉を黙殺。ねっとりとした視線で春蘭を凝視しているので
華琳たちは秋蘭からそっと離れた。

「じゃあ決まりね」
「そうなるな」
「仕方ありませんね〜」
「ええ。速く準備をしなくては」
 何かを話し合ったたちは一斉に席を立ち、それぞれするべき事をしようとするが、何が決まったか分かっていない
桂花は思わずたちを止めた。
「あの・・・何が決まったんです?」
「ええ。皇后がね」
「・・・・・・・・・・は?」
 華琳の言葉に桂花は固まる。そして、桂花の脳がフル回転を始めた。
(皇后? 皇帝の后よね? つまり次期皇帝である不破の妻が決まったと言うこと。でも他には手を出させないといったか
らには私以外にそういう行為は出来ないから(本人の中では確定事項)后になれるのは・・・!!!)
 気付いて真っ青になる。そう、次期皇帝である以上最低一人は子を、跡継ぎを作る必要があるのだ。で、自分がそれを禁じた
と言うことは・・・
「うあああああああああああっ!!!」
「ど、どうした桂花!?」
 突然錯乱したように叫び声を上げる桂花を心配そうに揺する春蘭。彼女は何も気付いていない。
 そうしてひとしきり叫び終わった後、呆然とする桂花の肩に華琳が手を置いて、恭しく告げた。
「では皇后様。これから皇帝陛下の即位式と皇后様との結婚式の準備を行いますね」
「あ、あの・・・華琳様?」
「いけませんよ皇后様。臣下を様付けで呼んだりしては」
「あ、あの・・・その・・・」
 これ見よがしに恭しく頭を下げ、臣下の礼をして部屋を辞する華琳を桂花は呆然と眺め、
「さて、婚礼衣装の採寸に行こうか。我が妻よ」
「あ、あああ・・・」
 華琳の背に手を伸ばしていた桂花の手を優しく取ったが桂花を抱き寄せる。
 桂花は華琳に心酔している。その桂花にとって、己が華琳の上に立つというのは基本的にありえないことで・・・
「こ、こんなはずじゃなかったのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
 そんな桂花の悲痛な悲鳴は蒼天に虚しく響き渡ったと言う・・・



あとがき
猫っぽい桂花を猫にしてみました。
あと皇后決定。
おそらく誰もが予想しない相手だと思う。

月たちはの居城となる皇居(新築)に一足先に入って色々準備してます。





おまけ
「華琳様。ご自身の後継者はどうするおつもりなのです?」
「稟。あなたは側室と言うものは知っているかしら?」
「ああ、そういうことですか。いいんですか?」
「問題無いわね。権力的にあの子が上でも私のいう事を聞かないはずが無いもの」
「それはまあ確かに・・・」
「それで聞きたいのだけど、あなたは三番目が良い?それとも四番目?」
「・・・・・・・・私は誰と競ってるんです?」
「風ですね〜」
「・・・では三番目で」
「まあ第二婦人より下は特に順列関係ないと思いますけどね〜」
「各国と力の均衡を保つために他の国からも嫁を取らせるように言ってくるかもしれませんが、そちらは?」
「蜀からは孔明を貰いましょう。以前が男色などと書いてくれたんだし、この位の落とし前はつけてもらわないと」
「そ〜ですね〜。何気に華琳様には大変お気に召しませんでしたからね〜」
「当然でしょう。惚れた男を貶されたのよ。この私が許すわけ無いでしょう?」
「では呉からは?」
「それは要相談かしら。の好みは孫権でしょうけど」
「さすがに次期王を送っては来ないでしょうね〜。だとしたら孫尚香あたりでしょうか〜」
「・・・ありえるわね。まあなんにせよの周囲には呂布たちもいるし妙な事にはならないでしょう」
「そうですね。大体あの方が色仕掛けに屈する事は無いでしょうし」
「むしろ仕掛けた方を落とすわね」
「桂花ちゃんみたいにですか?」
「桂花みたいにね」

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