鬼IN恋姫†無双
 呉での風景

 病床の周瑜


 戦いが終わり、大陸は蜀と呉の二国が統べるようになって、呉の重鎮たちは悲しみに打ち震えていた。
 その部屋には呉の重鎮たちが揃っている。
 彼女らが想うは一人の女性。周公瑾。彼女は今、病に伏していた。
「ごほっ! ・・・もう、無理かもしれないな・・・」
「そんな!」
「冥琳! しっかりと気を持ちなさい!」
 諦めたように呟く周瑜に、孫策と孫権は何とかして発破をかけようとする。
 そう、孫策である。一度暗殺されかけた彼女だが、二人の介入者により無傷だった。
 周瑜も周りにはばれないように病に犯された体をおして、最後の戦いに貢献した。
「北郷・・・」
「冥琳・・・」
 周瑜は力無く天の御使いである北郷一刀を呼んだ。
 一刀もやりきれない表情で彼女を見る。孫策を救うことが出来たが、周瑜の病は彼では
どうにも出来なかった。
「ごめん。華佗もこの場には居ない。・・・俺には、何も出来ない」
「構わない。死に逝く身だからとから聞いた歴史の流れでは、避ける事は出来ないだろう?」
「・・・本当に、ごめん」
 孫策が生き残れた事でもしかしたらと期待していたのだが、その望みは叶わなかった。
 一刀には、こうやって看取る事しか出来ない。
 他の者たちも、呉を支え続けた大都督の最期に涙を隠せなかった。
「くそっ! あいつは何処に行ったのだ!」
「明命、まだ彼は見つからないの?」
「・・・はい」
 甘寧が憤り、孫尚香が心配し、周泰が探し出せなかったのは一人の青年。
 北郷一刀とは違い智勇に長け、周瑜とともに呉を支えたもう一人の天の御使い、不破
 一刀は孫策の命もあり呉の将たちと関係を持っていたが、その中で唯一そういうことにならなかったのが周瑜。
 そして、周瑜はに惹かれ、共に過ごすことが多かったのだ。
「いいんだ・・・。私の死に顔など、彼には見せたくは無い・・・」
「冥琳様・・・」
「先生・・・」
 弱弱しく笑う周瑜に何も告げられない陸遜と呂蒙。
 変わり果てた姿を見せたくないのは彼女の最期のプライドだった。
「雪蓮・・・。私の跡は呂蒙か、北郷に任せたい・・・」
ではなく?」
「そうだ。奴はいつもどおり、何でも屋をさせたほうがいい・・・だが・・・」
「分かっているわ。貴女を失ったとなればも仕事が手につかないかもしれない。
 しばらくは休暇を出すわ」
 雪連のその言葉に冥琳は、の事も気に掛けてくれる親友に微笑んだ。
 の呉での仕事は多岐に渡る。出来る仕事が多いため、臨機応変に仕事をしているのだ。
 将として兵たちの調練に参加する一方、内政や兵器開発にも口を出している。

「ふふ・・・これで、言うべき事は言ったかな・・・?」
「冥琳・・・・!」
 もう思い残す事は無い。そう言っている様な周瑜に誰もが唇をかんで俯いた。
「皆、後は任せた・・・。私は、都督を引退する・・・」
「ああ。わかった。後は私たちが何とかする。まだ未熟だが、見ていてくれ冥琳!」
 孫策から王位を継いでいた孫権の力強い宣言に周瑜は微笑み、
「よし! 後は任せた! 私はこれからはねむーんに行って来るっ!」
 今までの弱弱しい姿が嘘の様に起き上がり、それはもう元気に部屋を出ようとした。
「「「「「・・・・・は? いや待て待て待てぇっ!!」」」」」」
 全員が豹変した周瑜に呆然として、一斉にしがみ付き引き止める。
「公瑾殿! なんだそれは! 今迄のは演技か!!」
「ふっ。病など既に克服しているっ!正確には早い時期からが薬を処方してくれていた!
どんな病も初期症状の時点で対処してしまえば恐れるにたらん!」
「あの野郎! 何もかも知ってやがったなああああ!!!」
 周瑜の言葉に一刀は絶叫。そしてそのは・・・
「冥琳。既に準備は出来ているぞ」
「うむ。私ももう引退したことだし時間は腐るほどある! さあいくぞ!」
 周瑜は巧みに体を動かししがみ付く将たちを引き剥がして、部屋の外に逃亡する。
 そして外には旅支度を終えたの姿があった。
 実は旅行に行くための荷造りをしていたのだった。
 機を狙っていたのだろう。は二頭引きの馬車に必要な荷物を載せてスタンバッていた。
「冥琳! 貴女まさか!」
「そのとおり! もうそろそろ惚れた男とのんびり生活したかったからな!後任は言って置いたし
後の心配も無い! 亞莎だってやわな鍛え方はしていないし北郷も居る。何の心配も無い!」
「冥琳ずるいわよ! 私も王位は蓮華に譲ったんだから連れて行ってよ!」
「雪蓮! 貴女には北郷が居るでしょう! それに二人で行かないと新婚旅行にならないじゃない!」
 縋り付く孫策を何とか振り切り全力疾走、の居る馬車に飛び乗る。
 色々なものから開放されてハイになっているらしく明命並の俊足を発揮している。
「では行ってくるわ! 一年ぐらいで帰るからよろしく!」
「仕事の引き継ぎとか終わってねーよ! 冥琳かむばーっく!」
「北郷よ! それは問題無い! 実はお前たちの日々の仕事の中でそれとなく私の仕事を混ぜていた!」
「根回し良すぎだろ!」
「はははははは! 北郷! 貴様、私を誰だと思っている!」
「神算鬼謀の周瑜様でしたああああああああ!!!!」
 結局引き止める事も出来ず、と周瑜は旅行に行き、残されたのは状況についていけず呆然としている
呉の将たちと、仕事を押し付けられて凹んでいる一刀、そして・・・
「冥琳ずるいっ! 一刀! 私たちも旅行に行くわよ!」
「待ってください姉さま! 今私達が居なくなると国が動かなく!」
「ああもう! 冥琳との馬鹿アアアアアアっ!!!!」
 親友に置いてけぼりにされて駄々をこねる孫策だった・・・・・・・・


 一年後、帰ってきたのはと周瑜だけでなく、もう一人増えていたのはどちらかというとどうでもいい事である。




呉でのの立場
 こちらには天の御使いの北郷一刀が存在しており、は表向き武将扱い。
 天の御使い云々はすべて一刀に任せており、本人はかなり自由。
 普段は若い将兵を黄蓋と一緒に扱き倒し、周瑜の頼みで裏に表に仕事をしている。
 孫策の暗殺事件時には一緒に居て庇ったが毒矢を受けたが、アムリタを飲んでて不死なので死なず、
でも毒を受けて一週間ほど寝込んだ。
 ちなみにその件で怒り狂ったのは孫策よりも周瑜。孫策も怒っていたが、それ以上に暴走する周瑜を見て冷静にな
ったらしい。
 一刀は周瑜以外の将たちと関係を持っており、孫策も一刀に首っ丈。
 周泰は武器の関係上に師事している。だってあれ日本刀だよね。あと暗器も使うし。

 うちの恋姫†無双SSでがチンクたちに発見されるのは魏編を除き数十年または数百年後なので
現地で子供作ったりしていても伴侶が既に死去、曾孫あたりから会わなくなるのでおおむね問題なかったりする。

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