スカリエッティ製戦闘機人、NO.2ドゥーエ。
 彼女はその変身・偽装能力から管理局への潜入任務に付いた。
 そして、現在彼女は情報を抜き取ることなく、バインドで亀甲縛りにされて冷たい床に転がされていたりする。

 アナザーIF 2ND


 それは彼女が特殊資料整理課に潜入した初日の事。
 管理局の中でも最近発足したので調査を軽くすり抜けられると思っていたドゥーエは、の手によって捕らえられた。
 というか、ドゥーエの偽装をあっさり見破った上に局員として就職するために捏造した過去すらも暴かれその正体すら
知られてしまっていた。
 それは彼女が特殊資料整理課に着任して僅か十分後の事だった。
「まあなんだ・・・ティーダ。この縛り方はエロ過ぎないか?」
「・・・普通にリングバインドですむと思うのですが?」
「俺もびっくりですよ! なんでバインドのプログラム書き換えられてんの!?」
「あ、すまん。それ俺だわ」
「スパーダ! てめえっ!!!」
 ドゥーエの肢体が艶めかしく縛り上げられ、羞恥を感じて頬を紅潮させた表情には目をそらし、ティーダはうろたえ、
スパーダは楽しげに目を細め、オーリスは絶対零度の眼差しでティーダとスパーダを睨む。
 スパーダ・ギャラン。整理課のバックヤードでオペレーター担当の二十台半ばの優男である。
 目が悪く、かなり度数の強い眼鏡をかけたその男は、実はつい数ヶ月前まで世間を賑わせていたハッカーだった。
 は地上本部のセキュリティのざる加減に怒りを覚え、即興とはいえかなり強力なセキュリティを用意してレジアスに渡し
、地上本部のセキュリティは劇的に向上した。しかし、唯一それを突破したハッカーが居た。それがスパーダである。
 そしてスパーダはの端末にハッキングを仕掛けて、それに気付いたがクラッキングを掛けてスパーダの個人情報を
吸い上げて即座に捜査員を派遣。あっさり逮捕と相成ったのである。
 そしてその優秀な技能を見たレジアスが司法取引を持ち掛けて、めでたく資料課の一人に抜擢されたのである。
 それ以来、マフィア等非合法組織相手に合法的にハッキングが出来るということに大喜びしながら日々ハッキングに精を出
している。時々こういう悪戯をするが。
「でだ、コレどうしようか」
「っ!!!」
 の温度の無いその声にドゥーエは息を飲む。正直に言って、彼女にとってこのような声は初めて聞くもので、その温度が
無いという表現は彼女をしても背筋に冷たいものを走らせた。物とすら見ていないというの声と視線は、恐怖を呼び起こすには十分だった。
「私としては徹底的に尋問して色々吐かせると良いと思いますが」
「俺も同意ですね。スパーダは・・・碌な事言いそうに無いな」
「ひでえなてめえ。否定はしないが」
「「「「しろよ」」」」
 HAHAHAと声を上げて笑うスパーダを白い目で見つつ、ドゥーエを含めて資料課の全員はため息を吐いた。
「一尉」
「はあ・・・。なあドゥーエ。手を組まないか?」
「・・・どういう条件かしら?」
 の提案に疑問を感じたものはドゥーエだけではない。ティーダやオーリスも疑問顔だ。
「本局や地上の癌どもの情報は好きなだけ持って行け。ただし、取捨選択はこちらでさせてもらう」
「・・・破格の扱いね。同じ局じゃないの?」
「派閥云々でなく、痛い目を見んと分からん輩はゴロゴロいるのでな。色々と利用させてもらう」
 ティーダやオーリスは納得した顔で頷く。綱紀粛正にも利用するつもりなのだろう。
「拒否したら?」
「そこの変態に陵辱されるだろう。それでいいか?」
 その変態、スパーダを指差すの顔は能面のようだった。そして指差す方向を見たドゥーエは・・・
「よろしくお願いいたしますご主人様」
「まてまて、それは俺に向かって言うことで大将に向かっていうことじゃげぶふっ!」
「貴方は黙ってなさい!」
 に深々と頭を下げていた。
 そしてその変態、スパーダはいやらしい表情を浮かべて、オーリスに速攻で殴り倒されていた。
 こうして、ドゥーエは資料課に正式に所属することになった。

 ドゥーエにも考えはあった。従った振りをして内側から堕落させようとかそう思っていた。
 だが、ティーダにバインドの解除を命令していたオーリス・ゲイズ二尉(昇進した)が、ドゥーエに対して気遣わしげに発した言葉に
彼女は考えを改め、に改めて恐怖を抱いた。
「なかなかいい判断だったわね」
「・・・オーリス二尉、だったかしら? それってどういうこと?」
「簡単よ。この間ギャラン三士の端末を見たら、鬼畜陵辱系のCGや写真を数多く発見したわ」
「よくやった私! 私の判断は間違ってはいなかった!」
 開放されたドゥーエは、スパーダの性癖を知らされて全力で自分の判断を賞賛していた。
 ドゥーエ自身は多少そういうことをされても問題はない。前の任務では色仕掛けで司祭を落としたのだし結構自信はある。
 だが、さすがにそういうハードなのは無理だ。
「あれよ。腕や足を切り落としたのも・・・」
「お願い。もうやめて。想像したくないから・・・」
 さすがにそこまで行くとドゥーエでも引く。
 そして、同時にため息をついたオーリスに何か親近感を感じつつ、ドゥーエは自身に割り当てられているデスクについた。
「ところで・・・」
「なに?」
「何で課長、いきなりデスクに突っ伏してるの?」
「それはね、評議会から押し付けられた仕事がとんでもなくハードで、一尉とミスティさんが三日貫徹で鉄火場にいたからよ」
 、特殊資料整理課課長は綺麗に片付いたデスクでいきなり寝ていた。ミスティは家で爆睡中だ。
「なにやってたの?」
「私たちはやってる仕事の幅がとんでもなく広いのよ。だから時々普通の部隊はやらないような仕事をするんだけど」
「大きな地下組織の麻薬の密輸の情報を得たんだけど、動けるのがこの二人しかいなくてね。あまりに危険な連中だからって二人に殲滅命
令が出てたんだよ」
「せ、殲滅?」
「結局殺さなかったけどさ。一尉が言うには、死体の処理がメンドイとかで」
「ミスティさんが非殺傷の広域殲滅魔法で大半をノックアウトした後に一尉が耐え切ったやつを各個撃破したらしいんだけど」
「次から次へと質量兵器で武装した連中がやってきて、結局それだけかかったらしい。さっき出来た報告書を見るとそうとしかいえない」
 なんで二人でそんなことが出来るんだと、ドゥーエはオーリスとティーダに聞いてみたが、返ってきた答えはある意味絶望的な答えだった。
「あの二人が組むと軍隊の一個師団に相当するのよ」
「ツーメンアーミーって言っても過言じゃない。一人でも相当な戦力だけどな」
「近接よりのオールラウンダーで、ゼロ距離からクロスレンジでの戦闘に関しては達人級の一尉に、強大無比な大魔力で後方からの
砲撃・射撃の名手であるミスティ。この二人だけで地上の全戦力とタメ張れるのよ。しかも二人とも殺しに忌避感持ってないし」
「申し訳ありませんドクター・・・。私、今生きてるだけできっと奇跡です・・・」
 ドゥーエは絶望した。もうこの任務の達成は無理だと、自身の造物主と姉妹達に謝るのだった。



 数日後、の元に招待状が届いた。
 それは、本局の武装隊が数年に一度行っている戦技披露会の招待状だった。ただし、出場者枠で。しかも強制である。
「これを機に本局に引き込むつもりかっ!!!」
「一尉に抜けられるのは流石にまずいですし、どういたしましょうか・・・」
 レジアスは激怒していた。いつもいつも育った優秀な人材を引き抜いていく本局の行動に怒りを覚えているレジアスにしてみれば
この招待状の真意は透けて見える。
 改めての実力を本局の連中に見せつけて、他の幹部からも引き抜きを行わせる心算なのだろう。
「ハラオウンめ! 三提督を抱き込んだと報告は聞いたが、早速動きおったかっ!」
「・・・一尉はどうするおつもりですか?」
 オーリスは自分のデスクでスーツの追加武装の設計をしているに声をかけた。
 は鬱陶し気な表情でオーリスに返す。
「とりあえず出場する。連中の興味を引きまくってから手酷く振ってやるのも一興だ」
「・・・ドS」
「なにか言ったかギャラン三士」
「ノーサー!」
 に睨まれて軍隊口調で返事するスパーダを一瞥し、オーリスに指示を出す。
「ボイコットするって線は?」
「それはそれで面白い。何せ面目丸つぶれだ。だが、ご自慢の武装隊と高ランク魔導師を悉く潰す、というのも・・・」
「存分にやれ。儂が許可する」
「だそうだ」
 ものすごくいい笑顔のレジアスがの肩を叩く。
 本局の面目を潰せるのがすごく楽しいらしい。
「ところで中将」
「何だオーリス」
「最近結構なペースで資料課に入り浸ってませんか?」
「ここの方が資料が揃っている上に司令部並みの設備があるので儂の仕事が捗るのだ」
「・・・そうですか」


 戦技披露会当日。
 フェイト・T・ハラオウンは機嫌が良かった。
 自身も戦技披露会に出場する身だ。なのはは仕事が今朝終わったばかりでとてもじゃないが試合には出られない。
 その他も仕事の都合で誰も出場していない。だから、彼女一人でと会うことになると思っていた。
「ようやく会える。本局にくるように説得しなきゃいけないけど、大丈夫だよね。なら私たちの言葉を聞いてくれるはずだし」
 フェイトはを説得して本局に所属させる任務を受けていた。その指令を出したのは言うまでもなく彼女の義母。
と一緒に仕事が出来る。楽しみだな」
 フェイトはが凄まじい能力を持っていることを知っている。だからこそ、自分と共に世界の為に働いてくれると、そう信じていた。
 全くもって根拠はない。ただ、フェイトがそう思っているだけだということは本人は気づいていなかった。
 そこにの意志が反映されていないことは言うまでもなく・・・

 トーナメント一回戦。
 フェイトは圧倒的な実力差を持って一回戦を突破した。相手もそう弱いわけではなかったが、フェイトにとっては相手にならなかった。
 そして、彼女は選手控え室にある巨大スクリーンの前で、設置されているソファに座っていた。
「これからの試合か・・・」
 控え室でに会うことはできなかった。はまるで会うのを避けているようにフェイトの前に姿を表さなかった。
 スクリーンの中でと、近代ベルカ式の大剣使いの魔導師が向かい合っていた。
 挑発する相手の魔導師を一切無視して普通に歩いて近づくに、大剣使いは間合いに入ったに剣を振り抜く。
 が、一瞬で大剣使いの前から姿を消した。大剣使いが慌てて探すと、は振り抜かれた大剣の上に立っていた。
 そして存在に気づいた大剣使いが振り向いた瞬間、の鋼鉄のブーツが顔面にめり込み、血と折れた歯をまき散らしながらK・O。
 一瞬で片がついてしまった。
 だが、試合場はざわめきで満ちていた。担架で運ばれる顔面を破壊されたその男に向けられる同情の視線と、破壊したに向けられる避
難の眼差し。それは、控え室でも同じだった。
「なんだよあいつ・・・」
「魔法を使ってねえ。いや、普通に物理攻撃だったぞ」
「ひどい・・・」
 向けられる批難。だが、控え室に帰ってきたは大したこともないように自分用のスポーツドリンクを口に含んだ。
・・・!」
「なんだ?」
 肩を怒らせたフェイトがに詰め寄るも、はどうでもいいと言わんばかりの無関心な顔で一応返事をする。
「なんなの。今の試合」
「別に。大したことはしてないが?」
「したよ! 相手の選手があんなふうになったじゃない!」
 怒るフェイトだが、は凪いだまま。
「俺は普通に戦っただけだぞ。戦う以上多少のケガは承知の上だろうに」
「あれは多少じゃない! あんなの!」
「死んでもいないし後遺症もなかろ。今の医療技術なら綺麗に治る」
「そんな問題じゃ!」
「・・・なあ、ハラオウン」
 フェイトは固まった。は今、彼女をなんと呼んだ?
・・・?」
「お前は、戦いというものを理解していないだろう。あの程度、普通に格闘系のスポーツでも起こりうることだぞ」
 例えばストライクアーツ。フルコンタクト制の格闘系スポーツならば相手に怪我をさせるなど当たり前である。殴り合っているのだから。
 だが、フェイトは全く納得していない顔でを睨んでいる。周りの選手たちも同じく。
 話しても埒があかないと悟ったは、何の感情も無い表情でその場をあとにした。ただ一言を残して。
「お前はただのスポーツ選手だ。戦場に出るなど言語道断。今日ここで潰してやる」


 その後の二回戦、三回戦と試合は進む。
 フェイトは魔力ダメージによるノックアウトで相手を無傷で倒して行き、は相手のどこかしらに傷を与えて勝利した。
 ある時は腕を叩き折り、ある時は相手に血を流させて。
「惰弱な・・・」
「どちらがですかな?」
「決まっている。本局の武装隊だ」
 ラルゴ・キールは特別観覧席でレジアスと共に観戦していた。
 そして、彼が言葉にしたのは武装隊の反応だった。
 の戦いにブーイングの嵐が吹き荒れているのだ。古い時代に生きた魔導師であるラルゴにはそれがどうしようもなく軟弱に見えた。
「あの少年は誰もが修練次第で習得可能な技術しか使っていない。それだけで並み居る高ランク魔導師を薙ぎ払っている」
「そうですな。何も特別なことはしていないでしょう」
「使っている魔法は基本的な身体強化だけだ。強化倍率もそんなに高くないようだが・・・」
「素が強いので上げすぎると人の頭ぐらい軽く潰せると聞いています。殺さない程度に抑えているんでしょう」
「非殺傷設定を使わず手加減をするか・・・古代ベルカ式もそんな感じだが」
「奴は元々魔法の無い世界の出身。力加減を調整するのはむしろ基本技術でしょう」
「・・・その辺は魔法文化の弊害か」
 フェイトが試合に勝った。今は準決勝。フェイトの攻撃は、明らかにオーバーキルだった。
 が試合に勝った。同じく準決勝。の攻撃は、見た目酷いがダメージ自体は酷いものではなかった。
「物理攻撃主体の者と、魔法攻撃主体の者の違いか・・・」
「むしろの方が自然なのでしょうな。人を殴ればこうなるというこの上ない見本です」
「あの・・・腕が折られた人がいるんですけど」
「綺麗な単純骨折だったな」
「あれは治ると骨がより強くなるからな。どうやればどうなるかを知り尽くしていないとああはできん」
「そ、そうですか」
 ラルゴの秘書の女性は、二人の会話に着いていくことができなかった。
「あの少年だけだ。戦技披露会の趣旨を完全に理解しているのは」
「趣旨・・・とは?」
「簡単だろう。ここは参考になる技術を実地で披露する場だ。彼の体捌きや身体運用技術は接近戦をする魔導師には酷く有効なものだ」
 本人しか持ち得なかったり、希少な先天技術はこの場には不必要だ。
 そう言葉を漏らすラルゴの目線はに釘付けだった。


 決勝戦。
 とフェイトは試合場で向かい合っていた。
 フェイトはを睨み、はフェイトに色の無い視線を向けている。
『さあ、ついに決勝戦! しかしながらその舞台にたつのは未だ幼い少年少女! 誰がこんな事態を予想したか!』
『二人とも高度な技術と戦闘能力を持っていますからね』
『では決勝戦! 雷光の天使と一部で囁かれるフェイト・T・ハラオウン! そして、特別出場の漆黒の死神岩動!』
『『レディー! ファイト!』』
 解説と実況のコールが終わった瞬間に、フェイトがフルスピードでに突撃する。一瞬で懐に飛びこんだフェイトは
身を翻して擦れ違うようにの首に金色の鎌宛てがい一瞬だけ動きを止めた瞬間に、フェイトの体が宙を舞った。
 何が起こったかわからず驚愕に目を見開いたフェイトは、真っ逆さまに頭から地面に落ちているのを自覚して飛行魔法で態勢を整えながら
から距離をとる。
(投げられたっ!?)
 目にも留まらぬ速さで投げ飛ばされたことを悟ったフェイトはプラズマランサーを射出。5発の雷槍がに殺到するが、当然のように回避。
「ターン!」
 コマンドヴォイスにより雷槍は向きを変え、の背後に襲いかかる。はフェイトの正面に突撃。真っ向から拳を振りかぶる。
「見え見えだよ!」
 当然のように障壁を張り、の拳は阻まれる。数秒の均衝の直後、は突然身を伏せた。その瞬間、の背後に迫っていた雷槍が
目標を見失い、正面にいるフェイトの張った障壁に激突。まさか自分の魔法を自分の障壁で受けるような事になるとは思いもよらず驚愕する。
 背後に回り込んだは動きの止まっているフェイトに容赦ない回し蹴りを叩き込んだ。
 吹っ飛ぶフェイトに向かっては左の鉄甲から弓を展開、鉄甲から弓の部分がバーニアを噴射して射出された。翼の様になった弓には魔
力刃が展開されている。
「なっ!」
「こういうのもまあ、有りだろう?」
 アンサラー。そう名付けたそれがフェイトを切りさかんと突撃し、フェイトの鎌とぶつかり火花を散らす。
 再び動きの止まったフェイトに、は高速の踏み込みで一気に肉薄、慌ててアンサラーを振り払ったフェイトはに鎌を振るうも
身をかがめることで回避され、だが拳を振るえないようにに体をぶつける。はそのまま肩をフェイトに当てたまま、全力で地面を
踏み込んだ。
「がふうっ!!」
 鉄山靠。ゼロ距離から強烈な衝撃をぶち込まれたフェイトは、後ろに吹き飛んだ。
「む、外しやがったか」
「げほっ! ごほっ!」
 本来ならば運動エネルギーを余さず体に叩き込む技だ。吹っ飛ぶことはありえない。きちんと入っていればの話だが。
 は一切容赦しなかった。追撃のアンサラーが上空からフェイトを奇襲する。しかし・・・
「バルディッシュ!」
 早くも復帰したフェイトがザンバーフォームのバルディッシュを振るい、アンサラーを叩っ斬った。
 観客たちが歓声を上げる中、フェイトはに向かってザンバーを振り下ろすが、はすでにそこにいない。
 はアンサラーの残骸を手に取り、そのパーツを分解し―――二刀を構えた。
「切り刻め」
「くうっ!!」
 素振りのように振るわれる刃から次々と魔力の刃が射出される。
 次々とかわすフェイトだが、計算されたように回避コースを潰されており、最後の一発が直撃コースの為回避できない。
 フェイトはザンバーで防御して、ザンバーごと切り裂かれた。
「うああああああああああっ!!!!!」
 一応非殺傷設定だ。魔力ダメージはあるものの実際に切り裂かれたわけじゃない。
 必死に歯を食いしばり、痛みをこらえてうずくまる。

 しばらく蹲っていたフェイトだが、ふらふらと立ち上がる。
「さすが・・・だね。やっぱりは・・・強い・・・」
「お前のデータは出揃っている。多少成長しているだろうが許容範囲内だ。手札がわかりきった相手に対応するなんて大したことはない」
「ねえ・・・なんで、本局に来てくれなかったの?」
 フェイトの言葉には動きを止めた。
は凄い才能を持ってる。凄い能力がある。なのに、なんで本局にこなかったの?」
「・・・・・・・・・・」
 沈黙するにフェイトはさらに言葉を続ける。
「その才能なら、多くの世界だって救えるはずだよ。なのになんで・・・地上に行ったの? 一緒に働けると思ってたのに・・・」
「・・・やはり、お前もまたなのか」
「え?」
「お前は・・・また俺の意思は無視するのか」
・・・?」
 フェイトにはの言葉が理解できなかった。一緒に居たいという思いだけが先行して、の意思をまるで考えていないいない事に、
今もまだ思い至ってはいなかった。
「俺はな、管理局なんてどうでもいいんだ。もっと言えば、世界のことすらどうでもいい」
「そんなっ! どうしてっ!?」
「だが、俺にだって守りたいものがある。大切な人がいる。この身の全てを賭してでも守り抜きたいものがある。お前は、おまえたちは
才能を理由に俺からそれを奪おうとした」
「そんなことしてない!」
「しただろう? 俺がこの組織を心底嫌っていることを知っていながら無理に勧誘したお前が知らない筈が無いだろう?」
「で、でも、は頷いたでしょう!?」
「そうしなければ開放されなかっただろう? 開放するつもりもなかった。違うか?」
「そんなこと無い!」
 フェイトはの言葉を必死に否定しようとする。だが、から見たあの勧誘は筆舌に尽くし難いものがあったのは確かだった。
「なんで、何でそんな悲しいことをいうの?」
「・・・お前にとって、悲しいことだろう? お前は、お前たちはあの頃からまるで変わっていない。俺の意思よりも自分たちの都合を
優先する。今だって、お前は俺に本局に来て欲しいと言ったな。俺の都合も何も考えずに」
「っ!!」
 フェイトはたじろぐ。実際にフェイトはなら言えばきてくれると思っていた。
「高ランク魔導師は住む世界を制限される。管理外世界に住むことは許されない。それがたとえ故郷であっても」
「そんなこと!」
「高町も八神も、お前も、いずれミッドで暮らすか、本局に詰めることになる」
「それは・・・」
「そうなれば俺も、海鳴を離れなければならなかった。アリサやすずか。お世話になった恩人たち。師である巻島館長。みんなから離れること
になった」
「それは今だって!」
「そうだ。俺はみんなに別れを告げた。お前たちの望みどおりに」
「望んでなんかいない!」
「望んだろう? お前たちは、そうなりたくないという俺の意思を踏みにじり、入りたくないと言い続ける俺を相手に何時間も入れ入れと
言い続けた。あの時の感想を言おうか?」
「・・・やめて」
「拷問だったよ。肉体的ではなく、精神的にな」
「やめてよ! もう、やめてえええええええ!!!!」
 フェイトは耳を塞ぎいやいやと首を振る。ようやく気づいた。フェイトは、フェイトたちは・・・
「お前たちは俺の幸せを奪ったんだ。大好きな人達の傍らで、共に笑いあいながら多くの時間を過ごしたいという俺の願いを踏みにじった」
「あ、ああ・・・」
 フェイトは泣いていた。自分たちの幸福を優先し、好きな相手の幸せを踏みにじったことに漸く思い至って。
「だから・・・」
 の雰囲気が変わる。空気がどんどん冷たくなっていく。
 その感覚を、フェイトは知っていた。
「お前たちは俺の・・・」
 殺気が渦巻く。本局内の施設で無風の筈の試合場に風が吹き荒れる。
 かつての恐怖が蘇る。
 が本気でキレている状態。修羅モード。
「敵だ」
 の姿がフェイトの眼前から消える。壮絶な悪寒がフェイトの背を駆け抜け、本能が命ずるままに高速で真横に離脱する。
 途端、爆裂。
 踵を落としたのであろう、が立っているフェイトが先程までいた試合場の床が大きく抉れていた。
「う・・・あ・・・」
 恐怖がフェイトを支配する。もし今のを上にかわそうとしたりその場に留まっていれば・・・おそらく命はなかっただろう。
「うあ、あああああああああああああああっ!!!!!」
 への罪悪感と恐怖がフェイトを狂乱させた。
 フェイトはに向かってとにかく魔力弾をばらまく。中遠距離戦は苦手であることはわかっているのか、とにかく距離をとろうとする
が、は当たり前のように避け、当たる物は拳で打ち払っていく。
「プラズマ―――――――」
 狂乱状態のフェイトはを、とにかくを視界に収めたくなかった。己の中の罪悪感と今のへの恐怖に本能が平常心を取り戻そうとして
目の前のを排除しようしている。フェイトはその本能からの命令に忠実に従い、己の全力を傾けて・・・
 の手に魔力で構成された槍が出現する。特別なスキルを用いていない、ありふれた術式の応用で作られたそれに、五つの環状魔法陣
がまとわりついた。うち三つは加速、もう一つは標的の補足、そしてもう一つは・・・
「俺は魔法というプログラムを研究してきた。どんなものが使えるのか、どのように応用出来るのか。そんな研究で見つけた一つを披露しよう」
 それは誰にでも使えるプログラム。特別な技量も何もいらない、知っていれば使える、多少重いプログラム。
「ザンバアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「貫け、ブリューナク」
 凄まじい砲撃を繰り出すフェイトに向けて、細く固い槍を一本投擲する。
 迫り来る暴力の権化に向かうにはあまりにも非力に見えるそれに、一人を除いた誰もがの敗北を確信し、次の瞬間の光景に誰もが目を疑
った。
 槍と砲撃が接触した瞬間、フェイトの砲撃に罅が入り、術式が崩壊し魔力結合が解かれて霞のように消えていく。
 あまりの出来事に呆然となったフェイトを、魔力の槍が貫いた。
 そして・・・
「ブレイク」
 短い追加コマンド。その一言で、槍の術式を変換、魔力爆発を起こし、フェイトは青い爆光の中に閉じ込められ、魔力を完全に削られ
ノックアウトされていた。


 フェイトの使い魔アルフは、に受けたダメージが元で寝込んでいるフェイトの看病をしていた。
 あの試合が終わり、今は海鳴の自宅である。
 フェイトは膨大な魔力を持っていることから魔力の回復力も高いので普通なら一日寝ていれば全快するが、三日たった今でもフェイトは寝込
んでいる。当初は愛するフェイトをこんなふうにされたことに怒り狂ったアルフだが、フェイトとの精神共有によってフェイトがへ向ける
罪悪感に気づき、改めて事情を聞いたところ怒るに怒れなくなってしまったのだ。
「・・・あたしも、他の連中も同罪だね」
 の幸せを踏みにじった。使い魔らしくフェイト至上主義であるアルフにとってそれはある意味どうでもいいことではある。しかし、自分の
主はそうは行かない。好きな相手の幸せを自分の都合で踏みにじるなんて彼女には許容できなかったのだ。
「・・・これは、根深いだろうね」
 いま、いや試合が終わってからずっと、フェイトは魘され続けていた。に責められ殺されそうになる夢を見続けているのだ。
 アルフも何とかしたいものの、何もできずに見守ることしかできなかった。
 フェイトの様子が僅かに良くなったため、食事をしようとリビングに向かい部屋に入ろうとしたその時、リンディとエイミィの会話が聞こえた。
「あの子を本局に迎い入れることができなかったわね」
「本人にその気がないなら無理ですって。輝くような笑顔で爽やかにかつ問答無用で却下されたじゃないですか」
「そうなんだけどね・・・。まったく、フェイトさんも使えないわね」
「これと決めたくんの意思を折るのは無理ですって。短い付き合いですけどそれぐらいはわかります」
「管理局には入ったのに・・・」
「そりゃああんな拷問じみた勧誘を受ければ嫌でも・・・。あと義理とはいえ娘に向かって使えないとか言っちゃだめですよ」
「あらそうね」
 アルフは固まった。リンディの言葉はまるでフェイトを道具としてしか見ていないかのような響きを感じたからだ。
 それはフェイトの母プレシアを彷彿とさせるものだった。
「なのはさんたちかしらね。次に向かわせるのは」
「だからそういう思考しちゃいけませんって。くんにもしがらみはあるし、これ以上地上との間に確執を作るつもりですか?」
「地上は今でも十分よ。それ以上に海は大変なんだから」
「分からないでもないですけど・・・ミッドに比べればここって驚くくらい犯罪率低いし治安良いから分からないですけど、ミッド地上って
結構犯罪が横行してますよ?」
「それは単に地上の局員の怠慢よ。レジアス中将も綱紀粛正をしっかりすればいいのに」
「やー・・・地上もかつかつだって話は聞きますけどねー」
 アルフはなんとなく、端末でミッドの情勢を調べてみる。公式発表されている犯罪率等はかなり高い。笑っていられる状況ではない。
「地上じゃ十年単位で大規模テロが起こったりしますけど?」
「それこそ地上本部の怠慢でしょう。あいにく人手不足で私たちも人材なんて回せないし、私たちの方が大きな犯罪を扱ってるし」
「・・・まあ事実って言えば事実なんですが」
 エイミィはため息を吐いた。ぶっちゃけると、エイミィは最近のこの親子についていくことができなくなりつつあった。
 まるでなのはやフェイトを道具か何かと思っているかのような発言もすれば、地上の治安などどうでもいいと言わんばかりの言動をとる。
 地上にいるのところにでも異動願いを出そうかとすら思うほどだった。
「それより晩御飯の準備をしましょう。アルフもお腹をすかせているだろうし」
「そうね。フェイトさんもそろそろ起きるかもしれないし」
 リンディが台所に立っている間にエイミィがフェイトの様子を見に彼女の部屋に行くと、そこはもぬけの殻だった。


 は普段は表情が動かない。
 それは自身の二つ名のイメージを利用するためでもあるのだが、今日は非常に機嫌が良かった。
 そんなに、試合のVTRを見ていたティーダとミスティは最後の激突についてあーではないこーではないと議論していたのだが、
に疑問をぶつけていた。
「お兄様。最後のあれってなんなんです?」
「あれはウィルスだ。相手の魔法の術式を侵食し食い破り無効化する特殊術式。なおユーノと共同研究したシロモノだ」
 侵食型対魔法術式マジックペスト。黒死病の名前を持つ魔法プログラムへのウィルスプログラムだった。
 とユーノは結構仲がいい。死にそうなぐらいに働いている無限書庫司書長ユーノだが、は無限書庫に資料請求をしないのだ。
 なぜなら自分で検索した方が早いから。その上には差し入れを持ってきてくれるので無限書庫の司書たちには死神どころか
癒しを与えてくれる紳士なのである。なお差し入れは主に翠屋チーフパティシエール高町桃子直伝のスイーツである。
 ユーノは直接攻撃力がないのでなにかあったときになんとかできないことに危機感を持っていて、その手の資料を探していたと協力して
この術式を作り上げたのである。
「欠点は?」
「重い。俺やユーノのような素の処理速度が出鱈目に速い奴じゃないと使いこなせん。デバイスの処理能力を上げればそうでもないが」
「それでも限界がありますよね」
 機嫌が良いらしいは普段は口にしない手札を話していた。話しても問題がないということでもあるが。
「お兄様はなぜそんなに速いんです?」
「元々のスペックもあるんだろうが・・・やっぱりあれか」
「あれ?」
「幼なじみにアリサというのがいてな。IQ200オーバーの何の処理も受けていない天然の超天才児だ」
「・・・マジ?」
「マジだ。ずっと同じクラスで、常にトップの成績を競い続けていてな。決着をつけようにも二人とも間違えないんで速さを競うしかな
くてなあ。一度二人で頭の回転の速さを上げるにはどうするか、処理速度を上げる方法はないか議論したことがあってな」
「ちなみに何歳ですか?」
「当時8歳だったか。無駄に頭のいいガキだったからな」
 二人とも唖然としている。自分たちがその頃の年には普通に友達と遊んでいた時期である。
「訓練次第で速く出来るからやっておけ。昔俺とアリサで作った訓練法を書き起こしておく」
「書き起こす?」
「頭に全部入ってる」
((やっぱり規格外だなあ・・・))
 なお、アリサの頭にも同様のものが入っている。二人は同格の頭脳の持ち主なのだ。
 規格外な上司及び兄を持った二人はそれぞれ役に立てるようにと訓練を開始するのだった。



 試合の数日後、のところにはある一報が届いていた。
 フェイト・T・ハラオウン、行方不明、と。





あとがき
いろいろぶち込みました。
ドゥーエ、任務失敗。
戦技披露会。なお、なのはとシグナムが死闘を繰り広げるあれの前の披露会です。
そして、アルフがフェイトを連れてハラオウン家を脱走しました。



おまけ

ミスティ・コラードの簡単なプロフィール。(19歳時)
身長167センチ。
体重XXキロ。(黒く塗りつぶされている)
スリーサイズ・B84D・W55・H86。
魔力ランクSS+・砲撃・広域型魔道師。近接戦闘は苦手だがあくまで砲撃に比べてというレベル。遠距離よりのオールラウンダー。
変換資質はないが、炎の魔力変換が得意。
所持デバイス・アチャラナータ(作)。名前の由来は不動明王のサンスクリット名。
基本形は金の錫杖。近接戦時には両刃の直刀になる。ビットシステム八大童子を搭載する。
容姿は長い黒髪に抜けるような白い肌。目は黒。モデル顔負けのスタイルを持つ美女。
バリアジャケットは改造巫女服。というか式服。十六夜の着物がモデル。
とは真逆のスペックを持つが故に相性が良く、組むと地上部隊最強と呼んで差し支えなくなる。
とは兄妹の契を交わしており、非常に仲が良く一緒に暮らしている。
天敵はの養女であるルーテシア・A・。おばさんと呼ばれて凹む毎日である。
周囲からは浄焔の巫女姫と呼ばれている。



さらにおまけ

 最高評議会の三人は、が上げた最新のとある研究データを閲覧していた。
 その内容は、魔法の機械制御に関しての新解釈である。
「まさか・・・いや、わかってはいた事だが・・・」
「今更感が強いがそれを個人で扱うとかは誰も考えてはいなかったな」
 それは今開発中のバトルスーツへの実装の検討をしている機能。
「魔法を扱う最低限の環境とは、エネルギーたる魔力、それを形にする術式、そしてそれを運用する知性だ」
「最低限この三つを用意できれば人間は必要ない。魔導師でなくとも魔法の行使は可能だ」
 それは魔導兵器の事でもある。アルカンシェルに代表される魔導兵器は環境さえ整ってしまえば人間は必要ない。
 人間ならばリンカーコアという魔力を生成する機関がなければ使えないが、機械で擬似的に代用が効いてしまう。
 すなわち、魔力炉・魔法プログラム・人工知能もしくはオペレーター、この三つだ。
 これが揃っていればボタン一つで発射可能である。
「その時点で質量兵器をとやかくは言えん」
「うむ。しかもアルカンシェルにいたっては効果が凶悪すぎる」
「効果範囲内の完全消滅・・・核なんかよりもよっぽど危険だ」
「あれを星に撃ち込んでみろ。地表を大きく抉りとり、その影響で公転軌道から外れてしまうだろう。そうなればその星は太陽に近づいて
灼熱の星となるか・・・」
「太陽から離れて極寒の氷の星になる。どの道その星は滅ぶだろう」
 今更過ぎるかの兵器の危険性に沈黙する三人。
 生身の肉体があれば間違いなく冷や汗を流しまくっているだろう。
はこれをバトルスーツに組み込もうというのか」
「普通に射撃や攻撃を強化するのに限るようだ。流石にそんなまずい真似はせんだろう」
「あ奴はかなり常識人だしな。魔力は腰部のベルト状の小型バッテリーに貯蔵、補給ないし攻撃強化術式使用時にカートリッジシステムを実装予定」
「スーツには補助AIを搭載し簡単な術式での魔法が使用可能。複雑なものや大威力砲撃は使えんらしいな」
「量産するにあたってはコストと性能がギリギリ釣り合うレベルだな。承認は?」
「無論。これほどの性能をここまで低いコストにとどめた手腕は素直に賞賛する」
「するとだな・・・ジェイルにやらせている人造魔導師研究が必要なくなってきてはいないか?」
 地獄のような沈黙が満ちた。
 生身の肉体があれば乾ききった上にひきつった笑いを浮かべているだろう三人は、大きなため息をついた。
「スーツの使用者についてだが」
「うむ」
 さきほど発覚したとある研究の無駄加減をなかったコトにして、三人は話を大きく変える。
が局員の志願者を育てているが、路地裏で殴り合いをやっている連中もスカウトしているらしい」
「ストリートファイターか。人格面に問題は?」
が選別している。奴の判断基準はかなり高いので問題はないだろう」
「あの手の連中は魔法が使えないからこそ肉体を鍛えているのだしな」
「土台が出来上がっているので鍛えるのが楽なんだそうだ」
「その辺も奴に任せるか。・・・今思ったのだが」
「何か?」
「・・・倫理を侵してまでやった研究がそうでない研究にとってかわられるとはな・・・」
 彼らがその昔からやってきた非合法な研究による人材製造プロジェクトがあっさりとまっとうな手段でとって変わられたのだ。
 自分たちが侵してきた罪のことを考えると頭が痛かった。
「・・・我らが作り出してしまった負の遺産。に始末をつけてもらうか」
「そうだな。そうしよう」
「うむ」


「ふざけんなあいつら!」
「・・・気持ちはわかる。だが腐ってもトップなのだ! だから、試作機を着て開発中のフル装備で評議会の元に向かうな!」
「離せ親父殿! 一発ぶん殴ってやる!」
「その一発が致命傷なのだ!!!!!!」
「一尉! 殿中! 殿中でござる!」
「誰ですかティーダ少尉に地球の時代劇見せた奴!」
「おれー」
「スパーダアアアアアアアアアアッ!!!」
 評議会から裏側すべてを告白されたとレジアスだが、が殺気をまき散らしながら襲撃に向かうのをレジアスとの部下たちが必死
で止めていたらしい。

 ちなみに、がそういう研究をしようと思ったきっかけはインテリジェントデバイスである。
 危険回避のために主の魔力を勝手に使って自動で魔法を展開することがあるのだから、普通に機械で魔法を使うことができると思ったのだった。

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