見渡す限りの炎の海。
ゲンヤが部隊長を務める108部隊へ遊びに行く途中の空港で
火災事故が発生した。
スバルとはぐれ、ギンガともはぐれたは懐かしい顔と再会する。



炎の中の再会



「ギン姉! おにーちゃん! 早く早く!」
「待ってスバル! 一人で行かないの!」
「そういうギンガも走らない。別に逃げはしないだろう?」
 空港に降り立った3人は硬くなった体をほぐしながら歩いていた。
 スバルは早く父の元へ行きたいのかいてもたってもいられないらしく今にも走り出しそうだった。
 ギンガはそんな妹を叱りながらもその顔はほころんでいる。
 はスバルをギンガに任せたまま、初めてきた空港の地図を頭の中に叩き込んでいた。
「お兄さん・・・・・・・」
「どうしたギンガ?」
 ギンガが突然暗い声で自分を呼んだので振り返ってみると、
「スバルがいません・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・迷子の呼び出しをしておいてくれ」
「はい・・・・・・」
 スバルを見失って落ち込みまくるギンガがいた。
 母を亡くして以来家族のことになると過剰に心配するようになったギンガに苦笑して、
とりあえずの打開策を講じておく。

 ギンガがアナウンスを頼んでいる間に、軽く周りを見渡してみるがスバルはいないようだった。
 結構な数の人がいるので人の波に流されていったのかもしれない。
(念話だけでも教えておくべきだったか・・・)
 魔法を嫌うスバルに押し付けるのも悪い気がしたので魔法を教えなかったのが仇になったと後悔している時、
不意に背筋に悪寒が走った。
 正体不明の焦燥感に駆られてギンガに念話で呼びかけ、再びスバルを探し始める。
 その時、大きな爆発音と衝撃波がを襲い、爆炎と共に空港が火の海に包まれた・・・・・・・・・

 一瞬の気絶の後、は目を覚ました。
「――――くっ、何が・・・!?」
 余りにもいきなりすぎる非常事態にパニックになりかけるが何とか押さえ込み周りを確認する。
 空港内の明かりは消え、薄暗くなっているはずがそこかしこから吹き出る炎に照らされている。
 煙が充満しつつあるエントランスホールで何人もの人が倒れこみ、気絶または失神しているようだ。
 これほどの爆発で大きな怪我を負ったのがいないようなのは奇跡に近い。
<ギンガ! 聞こえているか! ギンガ!>
<・・・・・・・おにい・・・さん? 一体・・・なにが・・・?>
 ギンガも少し気絶していたらしいが念話に気付いて意識を取り戻した。
<今どこにいる? さっきのアナウンスのところか?>
<えと・・・多分その近くの通路です。そうだ! スバルは!?>
<見つかっていない。これから合流しよう。ギンガはおとなしくそこに・・・>
<きゃああああああ!>
 ギンガの悲鳴が聞こえると同時にズズン!という轟音が聞こえてきた。
 聞こえた方向に行けば、天井が崩れ道が塞がれていた。
<ギンガ! 無事か!>
<な、なんとか・・・この向こうにいるんですか?>
<そうだ! しかし、合流は無理か・・・俺がスバルを探しに行く。お前は先に脱出しろ!>
<私も探します! 二手に分かれましょう!>
<・・・・・・・無理はしないようにな>
<はいっ!>
 とギンガは念話を終えてスバルを探し始める。
「まったく・・・一度言い出したら聞かないところも母親譲りか・・・」
 この妹達の同じような困ったところも、甘やかしてしまう自分が悪いのかなぁなどと埒もないことを
考えながら周囲の生命反応を探査しながら甲冑を纏いは走り始めた。妹を救うために。

 道すがら助けを求める人々をまとめて治癒と防護の複合結界で守りながらは空港内を駆けずり回っていた。
 助けた人々からスバルの目撃情報を聞くのも忘れない。
 生命反応をたどりながら走っていると、轟音と悲鳴が同時に聞こえてきた。
 全速力でそこに向かえば、崩れ落ちる石像に何人かが潰されそうになっている!
 はウォーカーをフルドライブ、視認不可な速さで石像の下に回りこみ受け止める!
 あまりの重量に体から、そしてアムルテンからメキメキと軋む音がしてくる。
「あ、あんた・・・」
「早く・・・そこを離れろ!」
「す、すまない!」
「みんな早く!」
 家族と思われる彼らが遠く離れたところでは石像を地面に降ろした。
「はっ、はあ・・・はあ・・・」
 さすがに2トン以上の重量を持ち上げていた所為か体が軋みを上げ思わず呻き声がもれる。
「大丈夫ですか?」
「・・・多少きついがおおむね問題ない。あんた方は怪我はしてないか?」
「かすり傷程度です。御心配なく」
「一応結界を張っておくからそこに入って管理局からの救援を待っていてくれ」
「分かりました」
「あと女の子を見なかったか? 10歳くらいのショートヘアの女の子だ」
 に問われて賢明に思い出そうとする彼らを見て、だめかと思ったとき、一緒に居た男の子が思い出す。
「あ、あの! 中央ロビーの方にいたと思います!」
「本当か!? なら早く行かないと!」
 はいてもたっても居られず結界内に彼らをおいて走り出した。

 が中央ロビーに着いたとき、桜色の閃光が天井を貫き、そこを女の子を抱えた白い服の魔導師が
飛んでいくのを確認した。
「今のは・・・なのはか? あの色の魔力光に白いジャケットなら間違いないだろうが・・・・」
 走り回り続けて息も絶え絶えなはその場に座り込む。
「あいつが居るなら問題ないか・・・スバルも助かったみたいだしな・・・」
 遠目にだが見た感じ出血は無かった。
 酷い怪我は負っていないようで、はほっと息をついた。
 そのまま暫くほうけていると、ギンガから念話が入った。
<お兄さん! スバルが助かったって!>
<・・・・・・ああ。さっき・・・確認したよ・・・>
<お兄さん? 大丈夫なんですか?>
<走り回りすぎて息が切れてる・・・>
<あの、こちらテスタロッサ・ハラオウン執務官です。御無事ですか>
 は突然聞こえた懐かしい声に思わず噴出してしまった。
<え? い、いきなりなんですか!?>
<いや、すまない・・・懐かしかったものでな>
<懐かしい?>
 彼女はまだ気付いていないようだった。
<俺だフェイト。だよ>
<・・・・・・え? ええええええええええええっ!?>
 絶叫。まあ探し続けた相手がこんな所に居たのだからそれも仕方ないだろう。
<あ、あの。お知り合いでしたか?>
<幼馴染だ。いつか話したろう?>
<ああ、酔うと凄く積極的になる・・・>
<待って二人ともー! って言うか! 何そんなこと話してるのっ!?>
 あの時の記憶を感触と共に思い出してしまい真っ赤に顔を染めたフェイトがに食って掛かるがあっさりスルー。
<フェイト。早くギンガを連れ出してくれ。こんな危険なところから、一刻でも早く>
<・・・・・・・・あとで覚えててね>
<キスでもハグでももっと凄い事でもしてやるから早くしてくれ。俺は自力で出る>
<確かに聞いたからねっ!>
 不機嫌だったフェイトがあっという間に機嫌が良くなるのを聞いて、早まったかと少し後悔する。
 うん、二晩ぐらいは覚悟しておこう。


 スバルを救助したなのはは再び炎の中に分け入っていた。
 そこで見たのは、多くの要救助者が結界の中で不安そうに周りを見ている姿だった。
「管理局です! 救助に参りました!」
「ああ! やっときてくれたのですね!」
「やった! 助かったぞ!」
 口々に喝采をあげる要救助者たちをなだめて、外に送り出しながら結界の主を訪ねる。
「この結界ですか? 魔導師らしい男性がこの中でじっとしていろと仰ってくれて」
「怪我も治るからあまり出歩かずにおとなしく救助を待つようにと・・・」
「そうですか・・・」
 なのははその魔導師にも協力を頼めないか考えていたところ、レイジングハートから警告が入る!
 上を見上げれば、スバルの時のように石像が倒れてきている。
 バスターを放つ時間も無くただ呆然と落ちてくるそれを見て、なのははも思わず助けを求めた。
「助けて! 君!!!!!」
 その時、蒼き豪風がなのはをかすめ、落下中の石像を薙ぎ払った。
 目をむくなのはの前には、蒼い騎士甲冑に身を包んだ懐かしい幼馴染が、そこに居た。
・・・君・・・」
「久しぶりだななのは。月並みな言葉だが綺麗になったな」
 滲み出す涙をこらえて、なのははにしがみついた。
「なんだ? 怖かったのか?」
「ばか・・・ずっと、会いたかったんだよ?」
 は包み込むようになのはを抱きしめて、
「さっさと脱出するぞ? 感動の再会をするにはいささか危険だ」
「うん・・・さあ! いこっか!」
 幼い時のように、軽口を叩きあいながら二人は炎の中から脱出した。


 はやてはようやく救助に来た首都航空隊にやりきれない何かを感じながら救助に参加しようとした時、
なのはが一人の青年と共にこちらに飛んでくるのが見えた。
「なのはちゃん! その人・・・!? 君!?」
「久しぶりだはやて。まさかと思うが全員集合しているのか?」
「私達三人だけや。もう、おるんやったら連絡してくれる? ナカジマ三佐から君が居るって
聞いたときはすぐさま飛び出そうとしたくらいやのに、リインがやけど・・・」
 その返答に苦笑しながら相変わらずだと心の中でそう思う。
「俺ももう魔力も体力も尽き掛けているんだ。できれば休みたい」
「そやったらこっちに。指揮車のほうにいこか。リインも居るしここの責任者にもおうてもろた方が
 ええかもしれんし。後は首都航空隊に任せとこか」
「そうだね。私とフェイトちゃんは元々休暇中だし」
「この辺の責任者と言えば・・・ゲンヤか。ちょうどいいから会っておこう」
 その時、アムルテンがショートし煙が上がり始めた。
「えっ!?」
「デバイスが・・・・!」
「・・・・・・・やはりもう持たなかったか」
 この事故に巻き込まれてから酷使し続けた所為でアムルテンは故障してしまったようだった。
「なにかあったん?」
「落下する2トン以上の物体を受け止めた所為で基礎フレームに歪みが生じていたんだ。その状態で
更に酷使した所為で完全にいかれた。修理もきかないなこれは、新しく作るしかない・・・」
「ご愁傷様・・・」
「頑丈なそのこが壊れるほどか・・・無理させてしもたんやな」
 この状態で結界を維持し、なのはを助けるために更に無茶をした所為だった。
「今までご苦労だったな。ゆっくり休め」
 アムルテンはそれに答えるように鈍く光を反射した。

「とーさまああああああ!」
 指揮車にやってくるとリインがアウトフレームを最大展開していきなり抱きついてきた。
 相当嬉しかったらしい。
 も久しぶりに見る娘を前に顔がほころんでいた。
「会いたかったですぅ・・・」
「悪いな。いきなりいなくなって・・・」
 感動の再会を演出している二人を横目にゲンヤたちは話をしている。
「そうか・・・中で人命救助をしてくれていたのか」
「そのようです。その所為でこのこもオシャカになってしもたらしゅうて・・・」
君の愛機だったのにね・・・」
 大仕事を終えて眠りに就いたデバイスに黙祷を捧げる3人。
 そこにフェイトもやってきた。
!! ってリイン! 代わって!」
「は、はいですっ!」
 の抱擁を堪能していたリインを引き剥がして今度はフェイトが抱きつく。
「あ〜うん。大胆と言うかその、な? 当たってるんだが・・・」
「自分で言うのもなんだけど成長したからね。当ててるつもりだし」
 なにやらピンクな感じになっていく二人にはやては・・・・
「うぅ・・・上官の手前おとなしゅうしてんのにぃ・・・・」
 拗ねていた。
「まあなんだ。後で存分に甘えておけ。それくらいの時間はやるから」
「あは、あははははははは・・・・・・」
「はうっ! お二人ともラブラブですう」
 ゲンヤはフォローするがあまり効果は無いようだ。
 なのはは笑うしかなく、リインは顔を隠しながらも指の隙間からちらちらと見ている。
 はやてはつかつかと二人に近づきフェイトの背中を抓り上げる。
「いたっ! いたたたたたたっ! はやて痛いって!」
「痛くしとんのや! 私はこんなに我慢してんのにあんたはー!」
「ごめ、ごめんはやて! 謝るからその目は止めてー!」
 はそんな二人に苦笑しながら変わらないなぁと小さく呟く。
「さて、まだ救助活動が続いているんだ。もう暫く手伝ってきたらどうだ?」
「そうだね。君は?」
「スバルとギンガの様子を見てくるよ。俺は特に怪我してないけど二人が心配でね」
「俺もこっちが片付いたらすぐに向かうと伝えといてくれ。娘を頼んだぞ」
「じゃあ後でな。ああ、そこの人。申し訳ないが病院まで・・・」
 喧嘩する二人をなのはが宥めながら3人で救助に向かい、ゲンヤとリインはまだ指揮を続け、
は救急車に便乗して妹達のいる病院へ向かっていった。


「お兄さん!」
「ギンガ! 怪我してないか!?」
 病院に来ていきなりギンガと再会できたは怪我を確かめるがほぼ無傷のようだ。
「スバルは?」
「・・・・こっちです。怪我は無いんですけど、あの子ずっと泣いてて・・・」
 スバルが収容された病室に入ると、スバルは声を上げずに静かに涙を流していた。
「大丈夫か? 辛い事があったか?」
「おにーちゃん・・・あたし。いやだ・・・弱い自分が嫌だ・・・」
「スバル・・・」
「ねえギン姉。シューティングアーツ・・・教えて?」
「魔法は嫌いなんじゃなかったのか?」
「嫌い・・・だった。でも、人を助けられる方法もあるんだ。あたし今日初めて知ったよ・・・」
「そうか・・・でもな、どんなものでも同じだぞ? 薬で人を殺す事もできるし毒で人を助ける事もできる」
「うん・・・あたしね。自分の理想そのものな人に出会ったんだ。強くて、優しい、星みたいな人に・・・」
「そうか・・・」
 それが自分の従兄妹の事だと確信して少し複雑になる
 自分にはこういうこと言ってくれないなあ、などと思うがすぐに理由に行き着いた。
 はスバルの前で戦う自分を見せた事が無ければこういう話もしたことが無かったのだ。
「あの人みたいに、強くなりたい。弱い自分とはさよならしたい。だから、ギン姉!」
「分かったわよ・・・。そこまで覚悟ができててするななんていえないし」
「なら俺が魔法を教えるから、ギンガはSAを教えてやれ。さて、今はもう寝ろ。今日は疲れたろう?」
「うん! おやすみなさいギン姉、おにーちゃん・・・」
 家族が無事で安心したのか、それとも稽古をつけてもらえる約束をしたからか、スバルは早々に寝入ってしまった。
 は溜め息を吐くが、ギンガも何かを考え込んでいる。
 そしておもむろに口を開いた。
「お兄さん。私にアレを教えてください。昔習得できなかったアレを」
「アレをか? どうしたんだ? 諦めたんじゃなかったのか?」
「スバルが理想を見つけたように、私も目標を見つけました。あの人のようになりたい。でも、執務官には
なれそうも無いから、だから自分にできる形であの人に追いつきたいんです!」
 ギンガが口にするアレとは、吼破のことである。
 昔が教え、習得がかなわず諦めてしまった技だがギンガは再びそれを身に着けようとしている。
 ひとえに、炎の中でフェイトに助けられた事でフェイトに憧れ、彼女に追いつきたいと願ったからだろう。
「・・・・・・分かった。まったくあいつらは、そろって他人に影響を与えてくれるなよ・・・」
 心底面倒くさそうに言うに少々不満げだがギンガはに感謝した。
 二人の姉妹は今、翼をはためかせ空へと向かう旅路に着き始めた。

 ギンガとスバルが寝ている横で、
「しまった。ゲンヤの事を伝えるのを忘れてた・・・まあいいか」
 などと呟くがいたとかいないとか。



 朝のホテルで、はやてはなのはとフェイトに新部隊の設立の協力を取り付けていた。
 快く協力すると言う返事がもらえて涙ながらに感謝したはやてだが、3人は久しぶりの休みである事もあってか
じゃれあっていた。
「ちょっ! はやてっ! そこは駄目だって!」
「ええやないのフェイトちゃん。むう、どんどんシグナムみたいに育っていってるなぁ」
「はやてちゃ〜ん・・・そこまでいくとスキンシップ通り越してるよー」
 はやての悪癖が顔を出し、フェイトが思いっきり被害にあっている。
 なのはははやてから微妙に距離をとりつつ宥めようとしている。
 はやてのテリトリーに入れば自分も被害にあうことが分かっているからこその行動だ。
 さすがは管理局のエースオブエース。スキルの無駄遣いだ。
 そんな彼女達を眺める2対4つの目があったりする。
「・・・・・・いつもあんな感じなのか?」
「ときどきですう。主な被害者は仲のいい女性陣全員ですが・・・」
 部屋の空気が凍結した。
 明らかに男の声がして、3人は錆付いた機械のような感じで首を回し彼を確認する。
「まず言っておくがちゃんとノックしたぞ?」
「リインが中に入れたですよ?」
 そんな言葉が遠く聞こえるのを無視し、そして自分達の格好を確認する。
 服ははだけ、ほぼ下着姿だった。
 3人は一拍置いてから、
「「「―――――――――――――――!!!!!」」」
 声にならない悲鳴が響き渡った。

「もう、お嫁にいけない・・・」
「大丈夫だってフェイトちゃん。君なら貰ってくれるから」
「あははははは〜。まずいとこ見られてもーたなぁ・・・」
 3人は身だしなみを整えて改めてを部屋に招きいれた。
 彼女達が咄嗟に放った砲撃を旅の鏡で異空間に送りながら神速で部屋の外に退避した
リインをひざの上に乗せて彼女の頭をなでている。
 リインは幸せそうに顔をとろけさせながらに甘えていた。
「新しい部隊を作るんだって?」
「せや。でもまだ作ると決めたばっかりやし、何にも決まってへんのやけど・・・」
「なら俺も協力しようか?」
「へっ? あの・・・? 局員じゃないんだよね?」
「外から支援しようと思っていてな。色々と準備は整っているぞ」
「準備?」
 は苦笑しながら改めて自己紹介を始める。
「さて皆。改めて自己紹介といこう。ほらはやてから」
「う、うん。時空管理局本局特別捜査官八神はやて一尉です!」
「同じく本局武装隊戦技教導官高町なのは二等空尉です!」
「同じく本局執務官フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです!」
「同じく本局特別捜査官補佐リインフォースU空曹長です!」
 彼女達の敬礼と自己紹介に満足して、も自己紹介を始める。
「現在、管理局に多大な資金提供と技術協力を行っている年商2兆を越す頭脳集団【アタラクシア】
の総帥不破だ。改めてよろしくな?」
 はやてたちの頭の中が真っ白になった。
 アタラクシア? まさかあの管理局の資本金の4分の1を寄付してくれてる最大のスポンサーやないの?
 年商2兆? シンクタンクって研究所でしょ? 何でそんなに儲けてるの?
 不破って? 確かおとーさんたちの旧姓だよね?
 総帥ってことは組織のトップってことですか?
 などなど、そんな言葉が頭をよぎる4人。
「局のお偉方にも結構な発言力を持っているのでね。ある程度は期待してていいぞ? それに
聖王教会の騎士カリムとも親しいのだろう? 向こうとも取引しているんで顔見知りだ。協力を頼めば
快く承知してくれるし、クロノやリンディさん、レティ提督も協力してくれるだろう。
はやて、それにお前達には恐ろしくビッグなバックボーンが控えているんだ。気にせずに突き進めばいい」
 その言葉にはやては、そしてなのはもフェイトも目を潤ませに飛びついた。
「はやては分かるが何故にフェイトとなのはまで・・・?」
「ええやないの。私ら皆君に感謝しとるんやで?」
「そうだよ。はやての部隊は私たちにとっても夢の部隊なんだ」
「だから、君の協力が本当に嬉しいんだよ」
「そうか・・・喜んでくれて何よりだ。俺の頑張りも無駄じゃなくなったしな」
 3人はを抱きしめ、も3人を抱きしめ返した。

 自分たちの事を理解し肯定してくれるに深い感謝と親愛の情を感じ、3人はますますから
離れられなくなっている事を自覚しつつあった。
 はやては自分をいろいろな闇から解放してくれた事に、フェイトはのさりげない優しさに惹かれ、
なのははかつての重傷を負ったときの勇気付け、さらには整体や身体制御の知識や技術で怪我を治してくれた
事に、さらに今回の協力での、そのためだけに組織を立ち上げたにいささかな呆れを
感じつつも自分たちを思ってくれている彼にどうしようもなくときめいてしまう。
 3人はに気付かれないようにアイコンタクト。
 独り占めは許さないとその目が言っているのを確認して自分たちで共有、いやに自分たちが貰われよう
と提案、了承される。
 フェイトは法務関係の仕事もするので当然一夫多妻が許されている事を知っている。
 がその条件を満たしている事にも当然のように気付いている。
 時期が来たらその事を話して貰ってもらおうと勝手に決めて、の温もりを求めるように
更に強く抱きつくのだった。


 なおリインはその彼女たちとに挟まれて窒息寸前だったりするががそれに気付くまであと二十秒。
 今までにないほど長い二十秒だったと彼女は後に語っていた。





後書き
 幼馴染たちとの再会とスバルのハジマリ。
 ようやくなのはたちと合流しました。
 しかしその時すでに主人公は社会的権力者の一人に。
 一夫多妻云々はウチのオリジナル設定なので御容赦を。
 アタラクシアは研究で開発された新技術や新理論で特許を取り、その特許料で
成り立っています。優秀な技術者が数名居るうえ総帥であるも一線級の科学者で、
実を言うと秘密裏にアリサとすずかにも連絡を取っており、アリサたちは在宅の
研究者という位置づけで参加していたりしています。
 すずかは一族の生態上寿命が長いため将来的にミッドチルダに来る予定になっています。

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