・・・・・ミツケタ・・・・・


・・・・ミツケタゾ・・・・・


・・・ヨウヤク・・・・ワレヲ・・・・


・・・・・ミ・ツ・ケ・タ・ゾ・・・・・

















「あああああーーーーーーー!!!!」

えーと、俺の名前は神崎刹那。
なぜか現在わけのわからない空間を自由落下しています。
というかなんでこんなことになってるんだ?
いつも道理の退屈な毎日を過ごしていたのに突然学校帰りに
何かに引っ張られるような感じがしたと思ったらこの状況。
なにか?これはあれか?小説やゲームででてくるような召喚術ってやつですか?



「あれ?ここは?」

自由落下が終わったと思ったら妙な建造物の前にいる。

「ここ・・どこだぁ?」

何もない、いやあるにはあるが妙な建造物と周りの森というか林というか
それしかない。

「いったい何なんだ?日本じゃなさそうだし・・」

がさがさ・・・・

「ん?なにかいるのか?」

そこには・・・・へんなゼリーっぽい見たこともない生き物が・・・


「うわっ!!あ、あっぶなぁ!!」

いきなりゼリーが飛び掛ってきた!?
なに?こいつ人を襲う生き物なのか?
くそっ、こっちは丸腰、多少腕に覚えがあるが得物がないしこっちが不利か!
ならば・・・・

「逃げるが勝ちだ!!!」

速攻で逃げる!



「あら?これは・・・」

喚起の門が起動した?それならまた何か呼び出されているかもしれないわね。

「アルディラ様」
「クノン、行くわよまた誰かが召喚されたようだから」
「了解しました」

危険なものが呼び出されたんじゃなければいいんだけど・・・・


「はぁっ、まぁだ追ってくるよ」

しかもなんか増えてるし?
最初は一匹だったのに逃げてる間にこいつら仲間でも呼んだのか?
このままでは少々まずいかも・・・

「行きなさい!!!」
「ぴぎゃぁぁ!!」

なに?なんだこのドリルみたいなのは?

「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。怪我もないし逃げるのに疲れたぐらいだが・・」

女の子?結構可愛いが、あまり表情がないな。
「クノン。彼は大丈夫?」
「無事のようです。アルディラ様」

おや・・今度は機械がくっ付いた様な女性(美人)が・・

「すまない、助かった。何とかできないことも無かったんだが、
 なんか何もかもいきなりで少しパニックに・・」
「無理も無いわね。ところで貴方状況は把握してる?」

状況?

「いきなり何かに引っ張られて気が付いたら妙な建造物の前。
 そしていきなり変なゼリーに襲われて、逃げてたら君たちに助けられた」
「そう・・・貴方が・・・」

 ?

「とりあえず此処が何処か、何故ここに居るのか、これからどうすればいいのか、
 説明してもらえると嬉しかったりするんだが・・いいか?」
「えぇ、いいわよ。ここじゃなんだからラトリクスに行きましょう」
「らとりくす?」
「私たちの集落よ」



「はぁ、なるほどねぇ。」

アルディラからこの世界とこの島のおおまかな説明を受けた。
俺はあの建造物(喚起の門)に呼び出された召喚獣だ、と。
しかも、この島に居るのは全てあの門に呼び出された、もしくは
この島を作った者たちに召喚され、主を失ったはぐれ召喚獣だと。

「そして、各集落をまとめる護人がいて、私は機界ロレイラルの集落ラトリクスの護人
 アルディラよ。」
「私はアルディラ様の護衛獣の看護人形(フラーゼン)クノンです。」
「あぁまだ自己紹介してなかったっけ、刹那、神崎刹那だ。刹那とよんでくれ。
 これからよろしくなアルディラ、クノン」
「わかったわセツナ」
「わかりましたセツナ様」


「ところでセツナ 貴方どの世界から来たの?シルターンでは無いみたいだし」
「メイトルパの亜人でもありません」
「説明で聞いた世界ではないみたいだね。どれにも当てはまるようで
 どれにも当てはまらない」
「とすれば・・・貴方二ホンって知ってる?」

!!!!なんで・・・

「なんで日本を知ってるんだ?それと俺はその日本出身だ」
「風雷の郷にニホンから呼び出された人が居るのよ」
「だとすればセツナ様は、名も無き世界から呼び出されたようですね」

名も無き世界・・ね

「おそらくそうなるんだろうな」

 しかし・・・会ってみたいな

「会いたいの?」
「あぁ、ぜひ」
「その前に、他の護人たちや彼らにも会わせないとね」
「彼ら?」
「この島に漂着したニンゲンたちが居るのよ」




「機界ラトリクスの護人アルディラ」
「鬼妖界風雷の郷の護人キュウマ」
「霊界狭間の領域の護人ファルゼン」
「幻獣界ユクレス村の護人ヤッファ」
「四者の名の元この会合の場を求めます」

 ここは集いの泉、各集落の護人たちが集まり

「さあ、説明して。あなたたちがこの島に来た経緯を」

 話し合いが始まった。


「なるほどね、つまりあなたたちは遭難してこの島に流れ着いた・・・」

 一通りの事情は聞いた。どうやら彼らは海賊で、突然起こった嵐に巻き込まれこの島に
 流れ着いたらしい。髪の赤い女性は違うようだが。

「とにかく俺らは船を修理したらすぐに出て行く。そのために必要なものだけ貸しちゃあ
 もらえねえだろうか?」

 金髪の兄さん、この一家の頭らしい男が協力を頼んでいる。

「悪いけど協力はできないわ」
「どうして?」
「あんたたちがリィンバウムの人間だからさ」

 ヤッファはためらうことなく即答する。

「機界ロレイラル鬼妖界シルターン霊界サプレス幻獣界メイトルパ」
「この島に住む生き物たちはそうした異世界からきたものばかりよ、彼は違うけど」

 俺のことらしい。

「この意味が分かる?」
「もしかして・・・」

 白い帽子とマントの赤毛の女性がが何かわかったように呟く。

「この世界に召喚され還されることが無かった、はぐれ者たちの島・・・」
「この島は召喚術の実験場だったんですよ」
「オレたちはな召喚術の実験台として呼ばれてきたんだよ」
「ソシテ・・・シマゴトステラレタ」

 キュウマ、ヤッファ、ファルゼンが口々に話し出す。
 彼らの表情は怒りとも悲しみともとれないような複雑な表情をしている。

「そんな・・・」

 赤毛の女性は、いや周りの彼らも同じようにショックを隠せないらしい。

「くくくっ、おかしくて泣けてきそうだろ」
「それじゃ、貴方たちはずっと・・・」
「ショウカンシハ、ミナシニタエタ・・・」
「カエルスベハ・・・モウ、ナイ・・・」
「だから私たちは人間を信用しない、関わりたくも無い。」
「お互いに干渉しないそれが妥協できる限界です。」
「悪く思うなよ」

彼らは拒絶の意志だけをはっきりと表しそこで会合は終了して・・・

「ちょっとまった!!」
「なんなの?セツナ」

 いやいやまてまて

「彼らの事情は分かったし、君たちが人間を嫌う理由も分からないでもないんだがその前に」
「?」
「護人たちに俺のことを紹介するんじゃなかったのか?正直な話、このまま
 捨て置かれるのはどうかと思うんだが」
「・・・・ごめんなさい。忘れていたわ」
「申し訳ありません。我々も居るのは分かっていたんですがすっかり
忘れていました。」
「わりぃわりぃ自分の意見を言うだけ言って帰るところだったぜ。」
「スマナイ・・・・」

おいおい・・・・勘弁してくれ、護人さんたち。

「誰なんだろうとは思っていたけど・・・」

 思ってたなら口に出してくれ、ガンマン風の嬢ちゃん。

「彼は少し前に召喚されたらしいわ。名も無き世界からね。」
「神崎刹那だ。そちらの言う名も無き世界から召喚されたものだ。
 セツナと呼んでくれ、特技は主に作ること全般、料理から何から
 作るということに異常なまで才能が特化しているらしい。何か入用なら
 いってくれ。そこの海賊さんたちもな。」
「ちょっとセツナ・・・」
「あのなぁ・・人間が嫌いならさっさと船を直して出て行ってもらうなり
 したほうがいいだろう。そうでなくても感情的になりすぎだ。」
「シカシ・・・」
「彼らは君らを捨てた召喚師ではないし、先ほど君らの身の上を聞いて
 ショックを受けていた。なら、そういうことを嫌う真っ当なやつ等だってことだ。」

 もう少しでいいから冷静になろうよみんな。


「・・・わかったわ」
「俺たちも感情に走りすぎていたな。」
「えぇ、認めましょう。もっと適切な形で話し合ってみる
 必要があるみたいですね。」
「イマコノバハカイサンシ・・・アシタマタハナシアオウ・・」
「そうしてくれるか、助かる。」

 ふう、なんとかいい方向に話はまとまったか。


 解散し俺は海賊たちと話をしようと近づいてみると・・

「ありがとうございます、貴方が居なかったらこんなに簡単に話はつかなかったと思います。」

 赤毛の女性が礼を言ってくる。

「いや構わないよ。それに、俺も召喚獣とは言え一応人間だ。
 力になれて何よりだよ。」

 そう言えば、

「まだ君らの名前とか聞いてないよな?」


 軽く自己紹介をし、船のおおまかな場所を聞いた。
 赤毛の白帽子がアティ、ガタイのいい兄さんがカイル、
 ガンマン風の娘がソノラ、銀髪の細身の男性がヤードというらしい。

 アティは、元軍人の家庭教師。船には生徒が1人いるらしい。
 カイル、ソノラは海賊、ヤードはその客分らしい。

「まいったなぁ・・・・」

 アティたちと別れて、俺は頭をかいた。

 これは、夢ではない。現実・・・
 まさかこういう小説やゲームに出てくるような世界に来る事になるとは。
 帰れないと聞いたし・・・ここで暮らすしかないかぁ
 ・・・・うん・・頑張りましょうか。
 ラトリクスに帰る間、自分に向かって言い聞かせ続けた。
 その時だった。

          ドォォォォォン

 !?

 爆音!!!!

「あそこかっ!!」

 周りを見ると、かなりの量の煙が立っている。
 俺はいても立ってもいられなくなり、煙のほうへ走り出した。

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