アルディラさんからベルとイスラさんが目を覚ましたという連絡を受けました。
アティ先生はイスラさんの部屋へ向かいましたが私はわき目も振らずに
ベルの部屋に向かいました。
ベルに何故ここにいるのか聞きださなければなりません。
そしてベルの部屋にはいると・・・・・
セツナさんがベルにスプーンを差し出してベルが口を開いて・・・・
「し、失礼しました!!!」
「ね、姉様!!こ、これは誤解ですわ!!今体が満足に動かないから仕方なく」
「はははは、良いじゃないかベルフラウ。昨夜も俺が食べさせたんだし」
「セツナ兄様!!!誤解を招くような事を言わないでぇぇぇぇ!!」
ああ、ベルいつのまにか大人になって・・・・


と、取り乱しましたわ。
まさかあのタイミングで姉様が入ってくるなんて・・・
「ベル、御免なさい。セツナさんとお楽しみだったのに」
「姉様ぁぁぁぁ!!私とセツナ兄様はそんな関係じゃないですわ!」
ああああああ、誤解してらっしゃいますわぁぁぁぁ。
「でもベル、兄様って・・・・」
「命の恩人を慕ってなにが悪いんですぅぅぅ」
そうですわ!!この方は私の命の恩人で・・・・
「ねぇ、たしかベルの好みの男性って・・・・」
「姉様っっっっ!!!」
確かにセツナ兄様は・・・私の好みのタイプど真ん中ですけどぉぉぉ。
「まぁその話は置いておくとして・・・」
放置!!!!自分から振っておいて放置!!!
「ベル・・・どうしてあなたがここにいるの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・それは・・・・・
「この間言った俺の推論が大正解だったよ」
「セツナさん・・・・」
そうですわ・・もうセツナ兄様には事情をお話ししましたわ。
「アリーゼと離れたくなくて船に忍びこんで――――嵐で船が沈んだ」
「私は―――死ぬのが怖くて、必死でたまたま近くに有った流木にしがみついて
 ――――この島に流れ着きましたわ」
「ベル・・・・」
姉様が右手を振り上げて――――――パァン!!!
「ばかっっ!!!勝手にそんなことして!!!お父様やお母様がどんな気持ちでいるか!!!」
ね、姉様・・・・
姉様が私に手を・・・・?
「私だって・・私だって、あなたが死に掛けていると聞いて心臓が止まるかと思ったのに!!!」
姉様が私に抱き付く・・・・
「こんな心配・・・掛けさせないで・・・・」
「ごめんなさい・・・姉様・・・・」
涙が出てくる・・・申し訳なくて・・・・
姉様に・・お父様たちにこんな心配を掛けさせた自分に――腹が立って。
「ごめ・・なさ・・・うぁ・・・うぁぁぁぁぁ・・・・」
私は泣いた。
こんな自分が・・・・考え無しな自分が・・大嫌いですわ・・・
だから・・・これは決別の涙・・・
強くなる・・・強くなってやる・・・自分で自分を認められる位に・・・・
私は・・・理想が高いのだから・・・・・そう簡単には自分を認めませんわ!!!




姉妹の話は終わりか・・・・
この二人は大丈夫そうだな。
「兄様・・・・」
うん?
「私を鍛えてくださいませんか?」
「・・・・俺にか?」
「兄様がいいのですわ」
「ベル・・・私と一緒に先生に・・・・」
「だめですわ・・遠めに少し見ましたけど・・・どじそうだもの」
アティ・・・言われてるぞ・・・・
扉の向こうで沈んだような気配が感じられるな・・・盗み聞きか・・・
ふむ・・・そうだな・・・
「俺も色々とやる事があって忙しい」
「その少しの時間でも・・・」
「普段は皆と一緒に青空教室で授業を受けるように」
そう・・・普段はな。
「そんな・・・・」
「その後に俺との個人レッスンだ」
『ええぇっ?』
何故に驚く?というか顔が赤くなってきているが・・・・
「アティからは召喚術を学べ、戦闘術は俺が教えてやる」
・・・・ベルフラウ、納得したようだが何故に少し残念そうな顔を?
「せ、セツナ・・・私の意思は・・・・」
「盗み聞きしていたような奴の事は知らん」
きっぱりと言い切る。と言うかアティこのタイミングで入ってくるのもどうかと思うが。
後ろで同じように聞いていたらしいイスラも苦笑している。
「俺は召喚術は門外漢だ。教える事は出来ん。だからアティお前に頼むんだ」
「セツナ・・・・セツナなら少し教えれば出来るようになると思うんですけど」
「一度アルディラに教えは請うたんだが、習得した事はしたんだが教えるとなると
 正直役にたたん感じがしてな。それに正式な教育を受けたものの方が教えやすいだろう」
そう、俺は召喚術が使える。筋は悪いのだが覚えが異常に良いらしい。
普通は逆だと思いっきり呆れられた。
ちなみに機属性と霊属性の二つだ。
「えっと姉様、この人が・・・」
「うん、私の先生でアティ先生・・・」
「私にまともな挨拶もなしなんですか・・・・」
「ちょ、ちょっと状況が状況で・・・・」
「挨拶してから抗議したほうが良かったね」
「イ、イスラさん!!!」
騒がしいな・・・・・
「お前たち仮にも此処はけが人の部屋だ。騒ぐなら出て行ってもらうが?」
全員沈黙する。
はぁ・・・・あまり使うのもどうかと思うが・・・
俺はサモナイト石を取り出し、
「プラーマ、すまないがこの子の治療を頼む」
聖母プラーマが現れ、ベルフラウに治癒を施す。
『なにかあれば、またお呼び下さい』
「ああ、ありがとう」
プラーマは微笑みながら消えていった。
ベルフラウは体が動くことを確かめて・・・・
「兄様、もしかして・・・もっと早く治せたんじゃ・・・」
「さて、リハビリもかねて散歩にでも行くか?」
誤魔化す様にきっぱりと言い放つ。
イスラがまたも苦笑している。
「そうそう、実はそれを提案しにここへ来たんですよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アティ・・・・・・・・
「アティさん・・・それはつい昨日まで死に掛けていた者に向ける言葉ですの?」
アティが固まる。ベルフラウ、ナイス突っ込み。
「ついでに言うと今俺がプラーマ呼ぶまで満足に動けなかったんだぞ」
さらに固まるアティ。
ああ、完全にこれは・・・考えて無かったな。
「先生、もう少し状況を読んで下さい」
「無駄だろうな。アティは天然ボケの気がある」
アリーゼの説教に被せて俺が否定する。
そう、無駄なんだ・・・・この類の人間には。



その後、クノンに私の体を診てもらい問題無いと言ってくれたので、
私・姉様・兄様・アティさん・イスラさんで島を案内してもらいました。
兄様曰くリハビリも兼ねているので調子が悪かったらすぐに申し立てるように
厳命されましたわ。
兄様の召喚術により、体の調子もだいぶ良くなったので大した問題も起きませんでした。
島を巡っていると様々な召喚獣達に出会いましたわ。
妖精・鬼人・獣人・天使、兄様は名も無き世界から無理矢理召喚されたのだと言っていましたわね。
たくさん遊んで、たくさん笑って会ったばかりなのに皆笑顔で、いい所だと思いますわ。
そして私達が帰るとき私たちは異常事態に気づきましたわ。
森が・・・ひどく破壊されている・・・
姉様が帝国軍がやったのではないかと言いましたが、アティさんが即座に否定しました。
曰く彼女がこんな事をするはずが無い。
兄様が呟くように言いました。
まるで・・・食い荒らした様だと・・・・





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