「えー!? この週末家に居るのあたしだけ!?」
『ごめんなー。シグナムは本局で仕事みたいやし、シャマルもザフィーラもそっちに帰れへんみたいなんや。
食事とか一人で大丈夫か?』
「うー・・・自信ない・・・」
『それやったら誰かのとこにお世話になってくれへんかな? なのはちゃんらやったら問題ないやろし』
「わかった。誰かに世話になってくる・・・」


  ヴィータのある週末


 普段は休みの日には全員集合するはずの八神家だが今回に限ってヴィータ一人だけが休暇で
他の家族は本局に居た。その為なのは(翠屋手伝い中)に食事等をお願いしたのだが・・・
「ごめんねヴィータちゃん。お店の方が忙しくて・・・」
 翠屋のほうに客が入りまくっているらしく目が回るほど忙しくとてもじゃないが余裕が無かった。
「いーよあたしが悪かった。テスタロッサにでも・・・」
「ハラオウン一家は一家揃ってお仕事中で今週末は帰ってこないって」
「そーなのか? アリサさん達に頼むわけにもいかないし・・・」
 更にフェイト宅が駄目。アリサやすずかのところはなんとなく気が引ける。
 その時、接客していた美由希が来客したを見つけて声をかけていた。
「いらっしゃい君。」
「こんにちは美由希さん。いつものお願いします。お持ち帰りで」
「はーい。店長注文!」
 注文が終わったを見つけたなのはがヴィータを引きずっての元にやってきた。
「―――という事なんだけどいいかな?」
「どうせ一人だし別にいいけど、ヴィータは良いのか?」
 あっさり説明が終わりから承諾を得ていたが、ヴィータは少し考える。まあしかし・・・
「背に腹は変えられねーし、頼む」
「そうか。ならお近づきのしるしに何か奢ろうか。どれでも良いぞ?」
「ホントか!? ならこれとこれと・・・!」
「持ち帰ってウチで食べるぞ。俺も持ち帰る予定だったしこれから晩飯だ」
「おう!!」
 結構な空腹を感じているヴィータはの言葉にとてもとても従順だった。
 ケーキを受け取ったヴィータはケーキの入った箱を大事そうに抱えての家についていった。
 楽しげに色々と話しながら帰る二人を美由希やなのは、士郎が眺めていたのだが、
「早速仲良しさんだねー。流石というかなんというか・・・」
「翠屋の話題で盛り上がっている様だな。共通の話題があると仲良くなるのも速いみたいだな」
「・・・・・・そうだね」
 なのははどことなく面白くなさそうな表情だったが、自分が紹介した事もあって気のせいだと思う事にした。


 さての家に着いたヴィータとだが、は早速食事の準備に取りかかり、する事がないヴィータが
の勧めでリビングにおいてあるTVゲームに興じていた。やりたかったゲームらしく熱中している。
「ヴィータ。何が食べたい?」
「ん〜〜・・・・美味ければ何でもー」
「・・・・・・・・また難しい注文をしてくれるなお前は」
 が難しい顔で考え込む。ヴィータとしてはデザートが楽しみでの料理には大した期待が無いようだった。
 そんなヴィータの内心を読み取ったが少し怒ったような顔で調理に取りかかる。桃子直伝の料理の腕を
最大限に発揮し、ヴィータを驚かせる為に・・・

「そろそろ飯だぞヴィータ。コントローラーを置けい」
「あいよ〜〜〜」
 ゲームを中断したヴィータはテーブルまで来て、驚愕した。
 そこにあるのは見るからに食欲をそそる料理の数々。
(シャマルとは比べ物になんねぇ・・・はやてと同等? それ以上か・・・?)
 見ただけで、その芳しい香りをかいだだけで唾液が溢れてくる様な料理を前に、ヴィータは目の前の少年を
侮っていた事を思い知った。当のはヴィータの反応を満足げにみている。
(ま、まだだ! まだ美味いと決まったわけじゃねえ! はやてのに比べりゃこんなのっ!)
 はやての料理が一番だと思っているヴィータにとっての料理はある意味挑戦状のようだった。
「食べないのか?」
「た、食べるって! いただきます!」
 に促されて早速おかずに手を出したヴィータはそれを口に含み、
「ギガうめえっ!!! ・・・はっ!」
 味を認識した瞬間、唐突に叫んだ。はその反応に気を良くしたのか満足げに目を細めて食事を始める。
 ヴィータは良く分からない敗北感を引きずりながらの料理を堪能しつくすのだった。

「なんであんなに料理うめーんだよ・・・」
「俺の師匠は桃子さんだ。プロに習った俺が料理本片手に習得したはやてより不味いわけがないだろうに」
「・・・ごもっともで」
 のもっともな言葉にヴィータがソファに突っ伏す。
 既に食事を終え風呂に入った後だった。ヴィータの濡れた髪をが丁寧に拭いている。
 泊まる予定はなかったのだが、どうせ家に誰も居ないなら泊まって行けというの言葉に頷き家に
お泊りすることにしたのだ。着替えがないヴィータは今のパジャマを着ている。下着は近くのスーパー(24時間
営業)で買ってきている。
「てーかお前さ、胸元のでかい傷はなんなんだ?」
 ヴィータは手間がかかるからと一緒に入った風呂で見たの傷を不思議に思っていた。
「・・・シグナムから聞いてないのか?」
「へ? 何でシグナム?」
 何故シグナムの名前が出るのか解らないヴィータは目をぱちくりとさせる。
「・・・蒐集だったか? 俺シグナムにそれをされてるんだよ」
「・・・・・・・・・・え?」
 ヴィータは思い出す。蒐集を始めたあたりでシグナムが大量のページを稼いで来た事を。
「え? お前そんなにでかい魔力持ってんの?」
「らしいぞ? 初心者通り越して一般人なんでそこんとこ良く知らないが」
 ヴィータはに探査系の魔法を使って魔力を探査し、
「げ、なにょは並・・・」
「ちゃんと名前で呼んでやれよヴィータ・・・」
 なのはの恐ろしくでかい魔力を知るヴィータは思わず顔をしかめる。だがそこで少し疑問が・・・
「なあ。魔力はあっても魔法をしらねーお前からどんな魔法が蒐集されたんだ?」
「さあ? 格闘技やってるからそっち系のデータが蒐集されたかそれとも・・・」
「それとも?」
 はヴィータに言うべきか悩むが・・・その時突然声が聞こえた。
ー。悪いけどご飯食べさせてくれるー?」
「・・・・・・リスティさん。いきなり背後に現れないでください」
 の後ろにリスティ・槙原がテレポートしてきたのだった。
「な、何もんだてめえ!!!」
 ヴィータはの背後に突然現れ抱きついたリスティに警戒しアイゼンを突きつける。
「・・・ありゃ。拙い時に来ちゃったかな」
「・・・ヴィータ。この人は俺の知り合いだからそんなに警戒するな」
 とリスティはヴィータを宥めようとするが、一向に聞く耳を持たない。
「うるせえ! 魔法も使わずに転移してきやがったんだぞ! 警戒するなって言う方が無理があるじゃねーか!」
 ヴィータからすれば正体の分からない力を行使するリスティは敵と認識されたらしい。
「ふうん・・・君は異世界の魔法使いなのか。本当に存在するんだね異世界ってさ」
「―――!!! な、何でそれを!!!」
「ふふん。何でだと思う?」
 リスティが突然ヴィータの正体を言い当て、言い当てられたヴィータは激しく動揺する。
「お、おい! どーゆーことなんだよこいつは!」
「落ち着けヴィータ。今説明するから。リスティさんも挑発しない」
「ごめんごめん。その前に何か食べさせてくれる? 耕介が愛と一緒に旅行に行っててさあ」
「さざなみの料理長がいないのか・・・ちょっと待っててください」
 は溜め息吐きつつ台所に行き料理を始める。
 その間ヴィータはリスティを睨み続け、リスティはそんなヴィータの視線を受け流しつつゲームのコントローラーを
手に取った。

「はー・・・食った食った。ごちそうさま。いつもどおり美味しかったよ」
「おそまつさま。では説明に入ろうか」
「・・・・・・・おう」
 なにやらゲーム対決をしていたらしく、ヴィータは全戦全敗を喫しうなだれていた。
「ふっ、さざなみ寮のゲームマスターであるボクに勝てるはずがないだろう?」
「う〜〜〜〜〜〜・・・」
 相変わらず挑発しあい再びにらみ合う二人だが、
「二人とも。その辺で」
「「イエッサー!!」」
 の妙に怖い視線で一気に沈静化させられた。
(なあ、って・・・)
(怒ると怖いから気をつけるように。うちの傍若無人な漫画家を黙らせるくらいだからね)
(どれくらいかいまいちわかんねーけどここは忠告を受けとく)
(賢明だよ)
 二人は若干顔を青ざめさせていた。
「この銀髪の美人さんはリスティ・槙原さん。桜台にあるさざなみ寮の寮生の方だ」
「リスティだ。とは寮の皆と家族同然の付き合いをしてる」
「リスティさん。こちらがヴィータ。最近友達になった八神さんちの末っ子だ」
「・・・ヴィータです」
 が仲介する形で自己紹介をさせたが、ヴィータは変わらずリスティを警戒している。
 は溜息を吐きつつリスティに許可をもらって彼女の正体を話し始めた。
「リスティさんはいわゆる超能力者だ」
「・・・超能力? テレビとかで時々やってる?」
「あんないんちきや紛い物じゃなく本物のね。ちょっとばかり特殊だけど」
 リスティは苦笑いしつつ補足する。ついでとばかりに彼女は己の生まれや体の事を話し始める。
「ボクは先天的な遺伝子異常によって生まれた超能力者だ。通称HGS。生物学的に人間とすらいえないよ」
「? どーゆーこと?」
「・・・人間の体って炭素で出来てるんだけどな」
「そーなのか?」
「そーなの。で、リスティさんたちの病気は体の中に珪素が混じってるんだ」
 の言葉にヴィータは首を傾げる。頭の上に?マークが浮かんでいるかのようだ。
「ボクの見た目は体重・・・大体50キロぐらいかな? でもね、ボクの自然体重は162キロあるんだよ」
「・・・へ?」
 ヴィータはありえないその言葉に思いっきり固まる。炭素と珪素は比重が違うので見た目通りの体重をしていないのだ。
彼女達の様なHGS患者の超能力は重すぎる体を支える為に必要だともいえる。
「さて、ボクの秘密を話したんだ。君の秘密を・・・直接見せて貰おうかな」
 リスティはヴィータの額に手を当てて目を瞑り、複雑そうな表情で手を離した。
「ん。大体分かったよ。ただ、所々飛んでるというか改竄されたような跡があるけど・・・」
「記憶を読んだのか?」
「テレパシーの深度を深めるとこういうことも出来るのさ」
 ヴィータは記憶が改ざんされていると聞いたあたりで闇の書の干渉の所為かと納得する。
「それともう一つ。俺のほうも話しておこう。なのはたちも知らないが俺は霊能者だ」
「・・・嘘はよくねーぞ。っていっても本当なんだろうけどな」
「当たり前だ。俺は恭也さんみたいに真顔で嘘をつく趣味はない」
 ヴィータはさすがに嘘かと思ったが、この話の流れから嘘は言わないだろうと判断した。
 彼女らにとっては霊能などのオカルトは全面的に否定しているのだが、この世界には知らないだけで数々の
裏があることを察したのだ。
「この世界ではそういう【不思議】な事は表向き否定されている。だけどその裏ではちゃんと実在しているんだ」
「ただそう言うのはマイノリティでね。表立って力を使ったりすると化け物扱いされて排斥されるかもしれないんでな。
誰も力を使わないんだ。お前もこの世界であまり超常的な力は使わないようにな」
「・・・おう」
 それらの能力を知って平然としていられる方が異常。これが地球では当たり前だった。
「ああそうそう。ヴィータ、ボクらの能力とか存在は管理局に知られないようにしてくれるかい?」
「あん? なんで?」
「モルモットとかにされたくないからね。ボクもそうだがもこの辺は同意見だよ。ボクらは管理局が
信用できないから。正義がどうのなんて謳ってる奴らは絶対に信用できない」
「いーけどよ。疑り深いんだな二人とも」
 リスティの懸念は当然だった。彼女は犯罪組織によって作られた存在なのだ。
 この過剰なまでの警戒心は本人の経験からきているのである。

 食事を終えたリスティは用は済んだからとさっさと帰ってしまい、再びヴィータと二人になった。
「なあ。まだ傷の事きーてねーぞ?」
「・・・おお! そういえば」
 途中脱線して更に客が来た事ではすっかり忘れていた。
「この傷な、シグナムに蒐集された後・・・結界だっけか? 路上にいる時に解除されて途端に目の前に車が」
「わかった。それ以上ゆーな。後で殴っとくから」
「いやいや。再会した時にみぞおちに渾身の一撃叩き込んでおいたから」
 二人は顔を見合わせふっ、と笑う。は立ち上がり台所へ向かい、
「忘れてたけどおやつの時間としよう。ケーキ取ってくる」
「おう!!」
 ヴィータは満面の笑みでを見送った。
 冷蔵庫の中に入れていたケーキを取ろうとは冷蔵庫をあけケーキの箱を持ち上げた瞬間、違和感を覚えた。
 軽いのだ。それなりの数のケーキが入っていたからこの軽さはありえない。
「まさか・・・」
 が箱を開けると・・・
【ご馳走様♪ byリスティ】
 と書かれたメモが。
「あの人はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
〜〜〜。どーしたー?」
 ヴィータの急かす声には諦めたように箱とメモを持ち、ヴィータに見せる。
「・・・・・・・・・・・・・・・これは?」
「・・・・・・・・・見ての通りだ」
 事情を理解したヴィータはメモを握り締めたままふるふると震えている。背中に炎が見えるのは気のせいだろうか。
「あんのアマあああああああっ!!!」
「落ち着け。今日はもう遅いから」
 は噴火したヴィータを冷凍庫から取り出したアイスを渡して沈静化している。
「怒りはとりあえず明日に取っておけ。さざなみ寮に襲撃を掛けるぞ」
「おう! ていうかこのアイステラうめえっ!!」
 ちなみにこのアイス、桃子とが合作した新作である。近日翠屋で出品予定。
 機嫌が直ったヴィータはベッドが一つなのでソファで寝るというをベッドに引きずって一緒に寝るのだった。


 翌日、さざなみ寮にはヴィータの怒声と逃げ回るリスティのヴィータを挑発する声が響いていた。
「魔法か・・・そんなものもあるんだな」
「あるようです。ところで真雪さん。そのメモは?」
「決まってるだろーが。あのチビを今度の漫画のヒロインにだな」
「本人だとばれるような書き方はしないようにして下さいね。前に無断で俺をモデルにしてて周りの奴らに散々
からかわれましたから」
 仁村真雪。P.N草薙まゆこ。職業・漫画家。身近にいる人間をモデルにしたりするので油断が出来ないお方である。
 現在ヴィータは騎士甲冑姿でグラーフアイゼンを振り回しつつテレポートを駆使しながら逃げ回るリスティを
追い回している。直前でテレポートされるのでなかなか当たらないらしい。
 そしてそんな二人を安全な場所から眺めていると真雪。の膝の上には子狐モードの久遠が昼寝している。
。わりーが昼飯作ってくれるか?」
「リクエストあるなら受け付けますよ?」
「よし。酒にあう昼飯を作れ」
「子供にそんな注文するなよあんた」
 真雪の注文に半眼でツッコミを入れる。まあ作ろうと思えば作れるのだが。
「こっちに顔出す時にこうなるだろうと思って焼きそばの材料持ってきましたからそれで我慢してください」
「じゅーぶんだよ。お! なんか鉄球打った!」
「ヴィーター! 周りは壊すなよー!」
 本格的に魔法を使い始めたらしくリスティも雷撃を出して応戦している。
 は寝ている久遠を真雪の膝に乗せてデニムのエプロンをつけながら台所に入って行き、真雪は飛び回る
ヴィータをモデルにデッサンをし続けていた。

 その晩、は暴れすぎて色々壊したヴィータとリスティを正座させて数時間に及ぶ説教を行い、帰ってきた耕介は
破壊された寮の一部を修繕していた。那美と久遠はキレているが怖くてリビングに入れず収まるのを待っており、
真雪は創作意欲が沸いてきたと叫んで自室で作業中。美緒は説教される二人を腹を抱えて大笑いしながら馬鹿にしている。
そろそろ美緒にも矛先が向く頃である。彼女は未ださざなみ寮の破壊王なのだ。そして・・・
「すまんみんな。愛さんから目を離していた・・・」
 耕介の謝罪にヴィータ以外の全員が固まった。キッチンからは愛の鼻歌が聞こえてくる。
(なあ・・・なんかまずいのか?)
(ヴィータ・・・あの人の料理の腕はな・・・)
(シャマルみてーなもんなのか?)
(シャマルさんを、そう・・・1シャ○としよう)
(何だよその単位は)
(あの人は軽く500シャ○を超える)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぢ?)
 二人のひそひそ話が聞こえていたのか周りに居るもの全員が顔を縦に振る。
 さざなみ寮の人間はシャマルのことを知らないはずなのだが、ニュアンスでわかるのだろう。
 ヴィータは顔を真っ青にしてとアイコンタクト。理解しあった二人は、
「さて、明日学校あるんで帰ります。ヴィータ家まで送るぞ」
「おう! お世話になりましたー!」
 即行で逃げを打った。しかしそれを許さない人間も。
「逃がすものか! 久遠! 美緒! ボクが動きを止めるからのしかかれ!」
「わかったのだ!」
「くうん!」
「うおっ! 体が!!」
「ずりーぞリスティ!!」
「ボクらだけ地獄を味わうなんて真っ平御免だ!!」
「仮にも義理の母の料理だろ!?」
 サイコキネシスで体を縛られた所で美緒がヴィータに、久遠(少女形態)がに飛びかかった。
 二人が必死にもがいているところに、調理(といって良いのかはなはだ疑問)を終えた愛がやってきた。
君とヴィータちゃんも食べて行ってね?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・はい」」
 その晩、さざなみ寮には海鳴大学付属病院に勤めるフィリスが緊急召集されたのだった。


 後日談
「どうしたヴィータ? それはシャマルの作った奴では?」
 シグナムは自分が一口食べて断念したソレを普通に食しているヴィータに面食らっていた。
 いつもならば自分と一緒にシャマルに文句を言っているところなのだが・・・
「シグナム・・・世の中上には上が居るもんなんだよ・・・」
 達観しきった目でただそう呟くヴィータに、シグナムは何も言えなかった。


 後日談その2
「あれ? はやて、何読んでんの?」
「これか? 草薙まゆこ先生の新作や。何やヒロインがヴィータにそっくりでなー」
「・・・・・・・・・・・え゛?」
 ヴィータははやてから漫画を奪い取って中を見ると、素直ではない性格の元気一杯の少女が魔法少女となり
ハンマーのような杖でおそいくる魔物や戦いを挑んでくるライバルと戦うというものだった。
ヒロインが素直ではないものの想いを寄せる相手がなんとなくに似ているのは何故であろうか。
あとライバルがそこはかとなくリスティに似ている。そしてお供の動物はなぜか子狐である。
「あ、あの人はあああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
 思わず脱力するヴィータに電話が掛かってきた。相手は・・・
『漫画は見たか?』
「ああ。とりあえずぶん殴りに行こうと思う」
『・・・まあがんばれ。俺もあとで様子を見に行くから』
「おう」
 わけがわからず呆然とするはやてを置き去りにして、さざなみ寮の真雪のところまでアタックを掛けたのだが、
「はっはっはぁ! まだまだだ小娘ぇっ!!」
「何なんだよこの手数の多さと速さは! ホントに漫画家かあんた!!?」
「剣道場日門草薙流名取予定だった事があるこのあたしにそうやすやすと勝てると思うなあっ!!!」
 体力の問題で5分しか戦えないが紛れもなくさざなみ寮最強クラスの剣の達人にヴィータは返り討ちにされたのだった。
「なんなんだよこの街はあああああああああ!!!!」
 ここは海鳴市。人外の存在に超能力者、退魔師に武術家とやたらめったら戦闘能力の高い者が集まる
日本で二つとない魔窟である。なお、最近この街には魔法使いが追加された。



あとがき
ヴィータとが仲良くなる話でした。
あとヴィータのみさざなみ寮の住人と顔合わせしました。
このあと雪などこの場に居なかった住人ともあってたり話を聞いていたりします。
ざからは泉の中で睡眠中で、それにも関わっていたりします。
あと真雪さんは強いです。さすが元風芽丘の黒い風(ヤンキー時代の通り名)。
あとこの真雪の書いた漫画はアニメ化され、劇場版になり更にはゲームにもなり大ヒットを飛ばしたりするのですが
それは別の話です。
リスティの体重云々は作者の想像です。
知佳が昔(高校1年時?)耕介に自分の体を話すときそういうようなの事を言っていたのでリスティもそうかなあと。
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